表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ

「それで、まだ彼女は作れてないの?」


開口早々、俺は喧嘩を売られてしまった。


「いや、別に彼女欲しい訳じゃ無いから」


と、少し言い返してみたりする。すると彼女に反論されてしまう。


「えぇ?こんな女だらけの寮に居てまだそんな事言ってるの?」


そう、ここは個人経営の寮にある俺の部屋。俺の他に住んでる5人は皆女子なんだけれど、どうにもあまり恋愛対象として見ていないというか見られていないというか。そう説明すると彼女は嘆息してからこう言った。


「あんた、割と鈍いよね」


「そんな事言われても、好かれてる気が全くしないんだよ。神無月は会う度にバカとかアホとか暴言ばかりだし、俺のこと大嫌いだって公言してる。正直俺もそろそろ嫌いになって来たよ。…ん?」


その時扉の方からガタッと物音がした気がして振り向いたけれど、誰かが入ってくるような気配は無い。それを彼女に聞いてみる、が


「ん?物音?私には聞こえなかったけれど。それより他の人は?」


聞こえなかったらしい。気の所為か。


「あぁ、うん。そうだなぁ…田中さんはあんまり男自体苦手みたいで俺とは目すら合わせてくれないんだよね。あはは、笑えないけど」

「ふーん。男自体と言うより春樹が嫌われてるだけなんじゃない?」


わーわー、聞こえない。


「そう…なのかな?えーと、新川さんはちょっと潔癖な人だから恋愛関係の話をするだけで木刀持ち出して来そうで怖い…かな?正直まともに話をするだけでいっぱいいっぱいだよ。そんな状態じゃ恋愛に発展なんてするわけないでしょ」


と、最後は笑いながら話す。

廊下から、んーんーとくぐもった音が聞こえたような気がしたけれど、彼女に話しかけられて意識を戻した。


「なるほどねぇ…。じゃあ先輩方はどうなの?」

そうそう、今話した神無月と新川さんは繚乱高校の2年、田中さんは後輩で1年生だ。


「んー、会長さんはそれこそ生徒会長として規律正しく生活してるわけで。生活習慣があまりよろしくない俺とはあまり会う機会も無いし、何て言うか近寄りがたい感じかな。最早別の種族、みたいな。憧れはしてもそこから先へは無理だよ、無理。俺なんか告白するのも恐れ多いね」


因みに会長さんの名字は笹野だ。


「あはは。それに何処かのお嬢様なんでしょ?確かに無理無理、つり合わないね。ってかなんでこんな寮に入ってるのかすら分からないし」


「あー、そういうの他の人に言われると大体イラつくけど、あの人に限って「つり合わない」って言われてもなんとも思わないな」


笹野財閥の御令嬢とはつり合うつり合わない以前の問題だ。


「最後は雨野先輩か…。あの人は唯一俺に優しいし接点も多い人だけど…」


「だけど?」


「それは俺の方に向いてる優しさじゃないから」


そう言い切る。


「ん?どういうこと?…あぁ、あの人はみんなに優しいからかぁ…。ファンも多いらしいよね。ってかその言い方、変なカッコつけてる!」


そう、雨野先輩は全てに優しいから。勘違いはしちゃいけない。


「う、うっせ。…うん、それに言ってたよ。俺のこと弟みたいだって。意地悪もされるし、本当に意識されてないみたい。少し勘違いしてた時期もあったけど、もうそんなバカな考えは捨てた。あはは、笑えるよね。1番気になってた人は俺の事は気にも留めないなんて。きっと弄ばれてたんだ、実は腹黒なのかもね」


なんて、今はそう思ってしまう。あまり信用出来ない相手になってしまった。


「えー?全部計算尽くってこと?それだったら…最低だね。女の私でも引くわぁ。まぁそうは言っても確証ある話じゃないんでしょ?これ以上言うのはあんまりよろしくないね。やめやめ」


彼女のこういう陰口にしないようにするところ、俺は割と好きだ。だからこの歳(言っても16、7だが)で男女で友人をやってられるわけだが。


「うん、これで分かったろ。この寮に居ても正直気を使うので少し疲れるだけで、恋愛になんて発展しないって」


「あー、そうだね。そっかー。じゃあ寮出てみたら?他に探してみれば新しい出会いがあるかもよ」


そう、少しは俺も考えはした。だけど


「ここはうちの身内が経営してる、ってか親戚の持ち物なんだよね。ここに住むことが条件で一人暮らしも、こっちの学校にも入れたわけだし…。ここを出たら転校かも」


「じゃあ無しかぁ〜。あ、もうこんな時間だ。バイトがあるから私行くね」


そう告げ立ち上がるとさっさと扉を少し開けて向こうを覗いている。誰か通りかかったのか?少し外と話していた彼女が扉を完全に開けると、誰も居なかった。


「あれ?誰かと話してたんじゃ無いのか。まぁいいや、バイト頑張れよ、保科」


「うん、じゃあまた明日」


そう告げ彼女は去って行った。


このことを翌朝男友達に話すと、

「お前はギャルゲーの主人公か!」

と言われた。解せぬ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ