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きゅーじゅー、いち。
勝負は、一瞬だった。
そうか、と応じた男は、ゆっくりと片手を上げた。
身構える早見たちに構うことなく、水平になる高さまで上げる。
ぴ、と指先を早見へと据えて。
「――ならば、試してみようか。魔法使いの少年」
早見は、わずかな振動を感じた気がした。だがそれは気のせいでなく、徐々に、明らかに大きくなっていく。
「君の“幻想”と、わたしの“科学”――」
轟、という腹の底に響くような鳴動を伴って、揺れる。
「この物語の中心にいるのは、果たしてどちらかな?」
男が唇の端を釣り上げて、冷酷な笑みを形作った刹那。
早見は咄嗟に、裁縫、水澤、姫森の三人を突き飛ばしていた。
それも、ただ手で突き飛ばしたわけではない。魔力をもって、それこそ三人は軽く宙を滑空し、ばらばらの三方へ壁際まで吹き飛ばされた。
――はやみん!
訳も分からないうちに受け身も取れずに床を転がった姫森は、それでも強引に顔を、早見の方へ向けようとして、
絶大な閃光に目を灼かれた。




