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世界は不思議に満ちている  作者: FRIDAY
天空都市
85/141

はち、ご。

 

 

 足取りも軽やかに。

 警戒心など微塵も窺えず。

 薄っぺらい、しかしそこの知れない笑みを浮かべたもの。


 白衣の男だった。


「………」


 早見も裁縫も無言。ただ、有事の際に対しての身構えを崩さない。

 

 男は、少なくとも容姿だけを見るなら、若かった。極東人ではない。目鼻立ちや体格は、西欧人のそれだ。

 だが、そんなことがあっていいはずがない。

 この島は、無人であるはずなのだ。数百年、人間を閉ざしてきたこの都市は。

 それともこの男は、あまり好まれていない技術を使っているとでもいうのか。不老と、そして恐らくは不死の――


 先に口を開いたのは、その白衣の男だった。


「――、――――。―――」


 しかしその言葉は、早見の全く聞いたことのない言葉だった。少なくとも日本語でも、英語などでもない。


「……おい裁縫。あいつ、今何て言ったんだ」

「“やあ、ようこそ。初めまして”だ。――でも今の言葉は、とっくの昔に滅んだ言葉のはずなんだけど。それこそ、天空都市の浮遊する前後に――」


 早見と裁縫のやり取りは小声だったが、聞こえたのだろう、男は、おや、という表情になってやや考える表情になり、咳払いなどすると、


「――ン、ん。これで通じるかな。どうだい? わたしの言葉は理解できるかね?」


 日本語で、そう言った。

 絶句する三人に構わず、男は浅く両手を広げて見せた。

 歓迎の意を表そうとでもいうかのように。


「改めて。ようこそ、天空都市へ。極東からの来訪者というのは実に珍しい――歓迎しよう」

 

 


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