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はち、れい。
光の表面を滑るように滑空して、絨毯は宙を転がった。
それでもすぐに体勢を立て直し、身構えを解かないが、
「光が収まった。――どうやら第二層を抜けたらしいね」
労うでもなく讃えるでもなく、裁縫は言う。
警戒は解かない。
早見もじっと集中している。
第三層。
何が起こるのか、今度こそ誰も知らない領域に、入ったのだ。
「防衛空域突破まで、残り50メートルだ」
天空都市そのものはまだ遠い。だが、空域を抜けるまでは、あと少し。
「計器に反応はない。砲撃なんかがあるわけでも――はやみん!!」
端末を確認していた裁縫が、ここにきて初めて、明らかな焦りを含んだ声を上げた。
早見も、当然のこと、それを見ていた。
天空都市防衛システム、その第三層。
眼前で展開されていく、それを。




