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ななじゅうきゅう。

 

 

 小説家を擁した魔法使いたちが、全く速度を落とさないまま天空都市の防衛空域に突入していく姿を、近づくこともできず周囲を取り囲んだそれぞれの機関の戦闘員たちは見ていた。

 そして、誰もが確信していた。

もう駄目だ、と。

あそこに入ってしまえば、もう撃墜されるしかない。

 生きて帰ってくることすら不可能だ。

 だから、なすすべなく見守るしかできない彼らは、自身の機関にそう報告しようとした。

 だが。

 奇天烈なことに絨毯などに乗った連中は、落ちなかった。

 慣性も大気圧も真っ向から無視したありえない動きで、絨毯は空間を、光と歪みの世界を、潜り抜けた。


「化け物か……!」


 知らず、誰かが呻くような言葉をもらす。

 それは、誰もが口に出さずとも思っていることだ。

 あれが、魔法使いだというのか。

 ならば魔法使いとは、化け物か。


 今も、これまで誰一人として見たこともない天空都市の防衛システムの第二層を、絨毯は生き残っている。

 無傷ではない。少なくない回数、確かに光撃はかすめている。

 だが、絨毯は飛んでいる。

 速度も、高さも失わず、走り続けている。


「抜けるのか……?」


 もはや、こちら側にいる彼らには手も足も出ない空域に、絨毯は舞う。

 絨毯は、光の中で踊り続ける。


「突破するぞ……!」


 光が収束する。

 

 


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