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ろくじう、なな。

 

 

「木村!」


 思わず黒木は叫んでしまった。今の少年の光撃も、黒木の位置から視認できた。

 木村の光撃が、宙を掻き毟るような線の攻撃だったのに対して、少年のそれはさらに恐ろしいものだった。

 黒木にはそれが、地から天に伸びる光の柱にすら見えた。


「――く」


 奥歯を噛む。これはもう、油断がどうこうという話ではない。格の違いだ。自分たちは、魔法使いと言うものを甘く見ていたのだ。これは一度退いて対策を練り直すしかない。五十嵐と木村の回収は、仕方ない、諦めるしか――


「――ここにいたのか」


 突然聞こえた声に、ばっと黒木は顔を上げた。

 そこには、端末の画面の向こうにいたはずの少年が、やはり何の装備もなく宙に立っていた。


「ほら、こいつらを置いていくなよ。あんたも大概薄情なんだな」


 ぽい、という調子で両手に掴んでいたものを投げつけてくる。どさ、と黒木の足元に転がるのは、失神した五十嵐と木村だった。

 見たところ、二人とも気を失っているだけで生きている。


「……情けでもかけたつもり?」

「情け? ああ」


 何のことだったか本気でわからないような顔をしたが、すぐに気づいたらしく少年は首を振った。


「その二人を殺さなかったことか? いや、それは別に情けとかじゃないよ。俺が殺人者になりたくなかっただけだ」


 言って、忘れるなよ、とその二人を示す。見逃すつもりか、と訝しげな表情をする黒木に、少年は苦笑して、


「まあ、見逃すというか、別に命は取らないんだけど」


 身構えを解かない黒木に対して、少年はひとつ指を鳴らした。


「しばらく眠っててはもらう」


 その音を聞いた途端、黒木は、自分の意識がどうしようもないままに遠のいていくのを感じた。

 

 


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