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ろくじう、ろく。

 

 

「え? まっさかあ、そんなわけないじゃんさー黒木ちゃん」


 軽く笑いつつも、一応、周囲に更なる光球を生み出してはおく。

 五十嵐もそうだったし、黒木も木村もそうだが、三人とも歴戦であり、さまざまな敵を排除してきた。それでもさすがに魔法使いと対峙するのは初めてであったため、根底では油断はしていない。五十嵐があっさりと潰えたのは、一重に油断していたからに過ぎないのだ。

 超能力が、古臭い魔法などに劣っているとはだれも考えていない。

 

「全弾打ち込んだんだからね。あれだけの攻撃受けて生きてたらそれはもう人間じゃない――」


 つぶやいていた木村の言葉が、尻すぼみに消えた。

 木村もまた、黒木の見たものを見たからだ。

 その場に変わらず、無傷で立っている少年を。


 ――へえ、今のはちょっと驚いたな。容赦ないねえ、あんたも。


 少年の口の動きに合わせて、耳元で囁かれるような近さで声が聞こえ、ぞ、っと顔を青ざめさせて木村はわずかに下がった。

 肉声が聞こえる距離ではない。だが、端末を通さずにどうやって交信するというのだ。


「……そんなわけないでしょ。どうやってあれを避けたっていうのよ」

 ――いや、避けてないぞ。ほら。


 少年が、広げた手のひらを示す。だが見るのはそこではない。そのわずかに上。

 そこに、ゆらゆらと浮いているものがある。

 光球。


「……っ、それは」

 ――今のあんたの攻撃。要は光なんだろ。光っていうのは質量がほとんどないに等しい。だからこれにまとめた。


 関係ないところに飛んでいったのはスルーしたけど、と少年は言う。


 ――っていうかあんた、結構本気で容赦ないのな。さっきの男も死ぬとこだったぞ、あれは。


 見れば、五十嵐は一応無事に転がっているものの、その周囲が派手に抉れて消失したりしている。


「……く」


 慄きを何とか噛み殺し、目に力を戻して木村は少年を見下ろした。

 こちらだってプロだ。初撃を防がれただけじゃないか。何を取り乱すことがある。

 呑まれるな。攻撃を続けろ。

 そう自分に強く言い聞かせて、木村は力を念じた。途端に既に展開していた光球の数が倍加して、


 ――懲りないのなあ。


 つぶやくような言葉とともに、少年が光の乗った手のひらをこちらに向けた。

 そして、光球が輝きを増し、

 

 


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