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よんじゅーに。
さすがに、音速超過で飛び続けることはしなかった。
ソニックブームを撒き散らしながらでは、いくら速くともどこを飛んでいるのかがまるわかりだからだ。
「かと言って、位置の特定をされても撃ち落とされるってことはないだろうけどね」
裁縫は、そんなことを言った。
現在、四人は絨毯に乗って飛んでいる。早見の所有物ではない。どこからか裁縫が持ってきたものだ。これが割といい生地で、高そうな代物なのである。
「いいものがあった。人数が人数だからね、道上はゆったりと行きたいところだ。これに乗って行こうじゃないか」
早見と水澤は単純に驚いたが、姫森はそれを聞いた当初心なしか喜んでいた。空飛ぶ絨毯だ、と昔読んだ小説を思い出して童心を刺激されたらしい。だが、そうだろうそうだろうと頷いていた裁縫の次の台詞で、姫森も顔色を変えた。
「万が一にも何かに衝突したりしないために、高度2000メートルあたりを音速級の速度で爆進するからね。落ちたら死ぬけど、流れていく景色はそりゃあ絶景だろうよ。落ちたら死ぬけど」




