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世界は不思議に満ちている  作者: FRIDAY
魔法使い
24/141

にじゅうよん。

 

 

 裁縫と名乗った少女は、早見、姫森の顔を順に見やった。

 そして、早見と姫森が何も続けないと見て取ると、


「おいおい早見・遙、姫森・千鶴。こちらがちゃんと名乗ったのに自分は名乗らないとは、これはまた一体どういう了見だい」

「何でそんなに偉そうなのか訊きたいところだが……少なくとも今のお前の呼びかけからして、俺たちは名乗る必要があるのか?」

「あるとも。それが礼儀というものだろう?」


 もっともらしく裁縫は頷く。えー、と早見は微妙な表情をしたが、断る理由もないため、


「……早見・遙だ。遙かに早く見る、で早見・遙」

「姫森・千鶴だよ。姫の森に千の鶴、で姫森・千鶴。よろしく、ね?」


 うん、と裁縫は頷く。で、と早見が、


「それで、だ。ええと、裁縫」

「やだなあはやみん、つれないじゃないかそんなよそよそしい呼び方で。キミとボクとの仲じゃないか。ボクのことは親しみを込めてさいほーちゃんと呼んでくれ」

「いろいろと言いたいことはあるが華麗にドスルーして……じゃあ、さいほーちゃん」

「なんだいキミはいきなり馴れ馴れしい。そういうものは少しずつポイントを貯めて、距離を詰めてから始めるものだろ」

「お前が呼べって言ったんだろうが!」


 思わず両手で座卓を叩いてから、く、と拳を握る。


「話が進まねえ……」

「ふむ。確かにね。――気を付けたまえよはやみん。キミは話を脇に逸らし過ぎだ」

「だ・れ・の・せ・い・だ・と!?」

「……ええと、いいかな」


 小さく挙手して、姫森が恐る恐る声を上げる。む、と早見と裁縫が見るのに首をすくめつつも、


「その……私も、いろいろと訊きたいことはあるんだけれども、その前に」


 姫森は、自分の隣に座る女性を示して、


「この人……大丈夫なの? なんかもう、息もしていないような気がするんだけれど」

 

 


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