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ひゃくよんじゅう!!
天空都市が、歴史上に現れ、世界の科学の象徴として在り続けて、およそ千年。
天空都市は、墜ちる。
何があったのか、どうしてそうなったのか、当事者をおいて他に知るものはなく。
人々はその事実に驚愕し、困惑し、恐れおののいた。
だが、それで世界が終わることはなく。
“科学”はそれ以降も発展を続けていく。
“科学”だけではない。
天空都市が消え、東都の頭上にはただ空だけが広がるようになってから。
世界には、少しずつではあるが、小説家が現れていった。
彼らは物語を創り出す。
この世界にはもういない、神や、天使や、龍の姿を描き上げる。
神話を、英雄譚を、怪異譚を物語る。
“幻想”を、生み出し続ける。
“科学”と“幻想”はともに在る。
この世界に、満ちている。