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ひゃく、さんじゅー、きゅ!
遠く、千年に渡り天空に在り続けた“それ”が、ゆっくりと、移動し始める。
つい先ほどまで煙や光を撒き散らしていたが、いつの間にかそれも収まっていた。
その一部始終を遥か遠くから見つめる人影がある。
少女は、じっと、天空都市を見守る。
一言もなく、そこに向かった相手を、待つ。
「――――」
唇が、待ち人の名をなぞった。
少女の肩に、手がかかる。
それは、待ち人によって助けられた女性の手だ。
浅く振り返った少女に、女性は励ますように微笑する。
大丈夫だよ、と囁く。
少女は頷いて、遠く空を振り仰ぐ。
――約束。
祈るように手指を絡ませて、少女は小さく、言う。
約束、したんだから。
破ったら、許さないんだから。