ひゃくとさんじゅーご。
「――あ、が」
どっと、“神”は膝をついた。
早見の魔槍によって、自動人形の腹部に貫通痕が開いている。
だがそれだけではない。
“幻想”の光は天空都市の中心に至るまで突き抜けており。
天空都市の核をも、破壊していた。
早見の顔横に、端末の画面が展開されている。
天空都市の内部構造解析データ――裁縫が表示したものだ。
「――――」
負けた。
“科学”は“幻想”に、負けた。
いや――違うか。
そもそも両者は、争うべきものではない。
ただ、出過ぎたがために、均されただけだ。
バランスを、取っただけだ。
かつて自分が、そうしたように。
「―――は」
できることをした。
最善の判断のもと、全てを行った。
「―――は、は」
核を撃ち抜かれている。
復帰は不可能だ。
もうできることは、ない。
「―――はは、は」
“この世界を、よろしくね”
そう、言われた。
「―――ははは」
世界を、任された。
「―――はははは」
自分は、できたのだろうか。
創造者が望んだように、できただろうか。
「―――っはっは、」
笑う。
「――なあ、少年」
問う。
勝者に。
“幻想”に。
魔法使い――
かつての創造者がそうであった、魔法使いの少年に。
「――わたしは、果たしたのか?」
問う。
少年は、即答した。
「当たり前だ」
頷きをもって、言う。
「ここまで世界が続いてこられたのは――世界が滅びなかったのは、あんたがいたからだ。あんたがいなければ、こんなに世界は残っていない。“科学”も“幻想”も、残っちゃいない――あんたはこれ以上なく完璧に、果たしたんだ」
その答えを聞いて、“神”は笑った。
そうか、と。
「――そうか」
それは、よかった。