ひゃくにじゅうに。
疾走する。
足場は、通りであったり、建物の屋根や、壁や、時には何もない宙であったりする。
空間を縦横無尽に走り回って、迎撃する。
相手は、侍女の姿をした自動人形だ。その数は無数。
だが、
「数だけでどうにかできると思うな……!」
戦闘は高速だ。常に数体が入れ代わり立ち代わり攻撃してくる。さらには離れた位置からの狙撃も加わってくる。そのどれもが一撃必殺とも言える強烈な攻撃である。
だが、当たらなければ意味がない。
まるで全身に目がついているかのように、早見は身を回し、捻り、回避する。
応ずるは雷撃。
両手と両足から閃光と火花を散らして、天地不覚に舞う。
狙うのは、自動人形の身体のうち、自律回路が集中し、なおかつ外部に近い部位――人間の急所でもある、延髄や水月などだ。間隙を縫うようにして、一撃を打ち込む。避けられず撃たれた自動人形は一瞬で回路をショートされ、行動不能に陥る。
常に遠方から狙撃してくる相手には、腕を振る動きで雷を射撃する。速度は光、軌跡は稲妻。それを、やはり急所に撃たれ、動かなくなる。
天空都市は、侵入を許してからものの数分で戦場となった。その至るところから黒煙を立ち上らせ、住む者のいない建物は次々と瓦礫の山となる。
たったひとりの魔法使いによって。
天空都市は、激震する。