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ひゃくにじゅういち。
「――見つけた! はやみん、すーちゃんはやはりあの中枢にいる!」
早見の顔横に、新たな画面が開く。そこにポイントされてる座標は、確かに遠くそびえる中枢塔の中だ。
「わかった。それじゃあ、これから送り込むぞ……でも、本当に大丈夫なのか」
天空都市に着地し、周囲の気配を探りながら早見は裁縫に問う。
「俺も一緒に突っ込んだ方が、成功率は高いんじゃないか? お前ひとりよりも――」
「やだなあ、はやみん。何を酒くさいこと言ってるんだい」
「いや、それを言うなら水くさい、だろ」
早見の肩を、裁縫は実に気軽に叩く。
「大丈夫だよ。ボクだって、戦う手段がないわけじゃない。それに、ヤバくなったらはやみんを呼ぶさ。――はやみんは、思うままにリベンジすればいい」
言って、どちらからともなく片手を上げた。
勢いよく、ハイタッチ。
「健闘を祈る」
「そっちこそ」
裁縫の姿が薄れ、消える。
早見が魔法で転送したのだ。
ちゃんと、水澤のところまで行っているはずだ。
「――さて」
ぞろぞろと現れて通りを埋め尽くす人影に向かって、浅く身構える。
「始めようか――」