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ひゃく、じゅうご。
「さて、パンに、ナイフに、ランプに……それから、他に何が要るかな?」
「お前は一体どこに行くつもりなんだ?」
「どこってそりゃあ、天空の――もとい、天空都市だよ。ああ、そうだ。親方と空から降ってくる女の子が足りないね。じゃあボクが兼ね役で親方やるから、お姫ちゃんを空から落っことそう」
「やめとけ。そしてそれは物語の始まりだからな」
これから決戦に向かうというのに、靴を履きながらそんな緊張感のない会話をしている。それがおかしくて、姫森は小さく笑ってしまう。
それから、早見と裁縫に続いて靴を履こうとしたとき、早見が振り返って、
「ああ、悪い――姫森。お前は連れていけない」
歯切れ悪く、そう言った。