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アイ  作者: 店員
6/6

第六章 〜思出〜

登場人物

アイ:AIえーあいロボット。人間と同じように話すが、感情という概念はない。


ひかり(14歳):本作のヒロイン。真面目で純粋。お母さんのような性格をしている。


ゆか(14歳):ひかりの親友。明るく元気でムードメーカー。


博士(39歳):アイの生みの親。男っぽい喋り口調で、かっこいいおばs・・お姉さん。


村長(55歳):ひかり達の住む村の村長。村の復興を一番に考えている。


飲料屋(40代):酒好きのおっちゃん。


射的屋(30代):気前のいいお兄さん。



【配役】計7人 男:4 女:3

アイ♂:

ひかり♀:

ゆか♀:

博士♀:

村長♂:

飲料屋♂:

射的屋♂:


電話が鳴る(村長の書斎)



村長「はい、もしもし?」


村長「おぉこれはこれは教授! ご無沙汰しております」


村長「いやぁそれがなかなか承諾して下さらなくって、ほとほと困り果てております」


村長「はい、必ず頷かせてみますよ」


村長「ええ、わかっております。はい……はい……ええそれでは」



電話が切れる



村長「はぁこのままあの女が承諾しないとなると、この村は終わりだ……」



間(研究所)



博士「あぢぃぃ……」


アイ「じゃぁお昼ご飯は魚でいい?」


博士「ほーい」


アイ「じゃぁ裏の川から獲って来るね」


博士「ああ頼んだ。そういえば今日ひかり達は、夕方に来るんだったな?」


アイ「うん、そうだよ。少しやることがあるんだって」


博士「ふーんそうか」


アイ「それじゃ行ってくるね。あ、ひかりが僕の居ない時にお酒飲んじゃダメだよって言ってた」


博士「わかってるって」


アイ「じゃぁ行って来ます」


博士「行ってらっしゃーい」



SE:扉の閉まる音



博士「……いったか? よっしゃ、じゃぁさっそく一杯っと……ええと確かここにアイに見つからないようキンキンに冷えたのを置いてたんだが……あれ? 見当たらない、どこいったんだ? ん、なんだこの紙……『没収。PSひかり』…………あんにゃろぉぉぉお!!! いつのまにぃぃぃ!!!!!」





博士「うー……うぅー……」


ゆか「しっつれいしまーす! うおっ! 何? この腑抜けっぷり」


ひかり「お邪魔しまーす」


博士「あ、あああああぁぁぁぁ!!!!! ひかりてめぇ!!!」


ひかり「ふぇぇぇ!!?」


ゆか「な、なにごと!?」


博士「ひかりお前私のビールどこやった!!」


ひかり「エーナンノコト?」


博士「すっとぼけやがってぇ」


ひかり「だってあんな隅に500の6缶ケースが2つも置いてあったんだもん。そりゃ博士の体のことを思ったら居ても立っても居られなくなっちゃって」


博士「で? どこやった」


ひかり「捨てました」


博士「何ぃぃ!!!」


ひかり「あはは冗談ですって」


ゆか「あんたそれ冗談になってない」


ひかり「ビールは隠しました。場所は私とアイ君しか知りませーん」


博士「あぁ私のお楽しみがぁ……」


ゆか「はぁどうしようもない駄目人間ね」


博士「ん? あれ? お前らその格好」


ゆか「えへへ可愛いでしょ?」


アイ「あ、二人とも来てたんだ」


ゆか「ヤッホーアイ君!」


ひかり「ふぇ!? ア、アイ君!?」


ゆか「ジャーン! どう? アイ君」


アイ「うわー綺麗! 何ていう服なの?」


ゆか「これはねぇゆ・か・た♡」


アイ「ゆかた?」


ひかり「えっとね、浴衣って言うのは夏に着る、ラフな着物のこと。元々はお風呂上がりに着る室内着だったんだけど、今は柄や生地が変わってお祭りとか出かける用もあって内外問わず着れるの……」


アイ「……」


ゆか「……あんたそんな隅でカーテンに隠れながら説明されても」


博士「さすがにアイも反応しづらそうだな」


ひかり「うぅ……」


ゆか「ほら! ちゃんと出て、来な……さい!!」


ひかり「わわっ!」


ゆか「ほらほら」


ひかり「えっと……アイ君どうかな?私変じゃないかな?」


アイ「ううん。すっごく綺麗だよ」


ひかり「っぅぅ!! …………ふぁ、ふぁいがとう……」


ゆか「アイ君……ストレート過ぎっしょ」


博士「茹でカニみたいになってるぞ」


ゆか「ほんじゃま行きましょっか」


博士「私のボケは無視か? 茹でカニじゃなくて茹蛸だろっみたいな」


アイ「どこ行くの?」


ゆか「夏で浴衣といえば、お祭りでしょ!」


博士「私のボケ……」



間(お祭り)



アイ「色んなお店がある」


博士「へー初めて来たけど、結構賑わってるな」


ゆか「うん。ここ結構お祭りとか力入れてて、お店も50店くらいあるんじゃないかな?お祭りの最後は灯籠流しもあるんだよ」


博士「ふーん。まぁでも祭りではしゃぐなんて、やっぱり子供だな」


ゆか「なによぉ大人だってお祭り好きでしょ?」


博士「はしゃぎ方が違うんだよ」


ゆか「でも、はしゃぎ方で言ったらあの子には敵わないけど……」


アイ「ねぇひかりはどこ?」


博士「あれ? そういえば……」


ひかり「とったどぉぉぉ!!!!!」


博士「……あれひかりか?」


ゆか「だね。あ、こっち来る」


ひかり「もう! みんな何をぼーっとしてるの!? 早く行こうよ!」


ゆか「行っちゃった」


博士「お面んに、綿菓子、りんご飴に、水風船、加えて焼きそばまで買おうとしてるぞ。よくもまぁこんな短時間に」


ゆか「普段大人しい分、祭り事になると、とんでもないくらいはしゃぐのよねぇ」


ひかり「はい! 焼きそば買ってきたよ!」


博士「あぁ……サンキュ」


ゆか「ありがとっ」


ひかり「みんなで分けて食べようね!」


ゆか「ひかりぃ綿菓子頂戴」


ひかり「いいよう」


博士「お? ……おぉぉ!? あれはビールじゃないか!!!!」


ひかり「あ! もう……せっかく博士のビール隠したのにこれじゃ意味ないじゃん」


ゆか「まあまあいいじゃない。お祭りの日くらい」


ひかり「うーん……そうだね。アイ君なにか気になる物があったら言ってね」


アイ「うん。あ、ひかりあの赤くて小さい魚はなに?」


ひかり「金魚だよ。一緒に泳いでる目が大っきい魚は出目金って言うの」


ゆか「ふーん金魚すくいねぇ……やる?」


アイ「金魚すくい?」


ひかり「あの金魚を紙を貼ったポイって言うので(すく)うの。掬えた金魚は持って帰れるよ」


アイ「金魚すくい、やる」


ゆか「そうこなくっちゃ! じゃぁあたしも張り切っちゃおうかな!?」


アイ「うーん……紙の上に乗ってくれない」


ゆか「違うよアイ君。来るのを待つんじゃなくて、誘うの! こうやって追い詰めて……とうぅ!!!」


アイ・光「おお」


ゆか「まだまだ! 二匹ダブルゲットォォォォ!!!」


アイ・光「おおお!」


アイ「うーん……えいっあ、破けた」


ひかり「残念だったね」


ゆか「まだまだだねアイ君! 何なら私の門下に入って金魚すくいの達人を目指すかい?」


アイ「入る!」


ひかり「え!?」


ゆか「いいだろう……これから私のことはゆかじゃなく、師匠と呼ぶんだ!」


ひかり「ゆか!」


アイ「はい! 師匠!」


ひかり「ちょっとアイ君!?」


ゆか「では私の後につづけぇ!! 私の言うことは絶対……」


ひかり「ゆ〜か〜ちゃ〜ん?」


ゆか「すいません。調子に乗りました」


アイ「師匠大丈夫?」


ひかり「アイ君もうゆかのこと師匠なんて呼ばなくていいよ」


アイ「うん、わかった。ねぇひかり次あれしてもいい?」


ひかり「うん、いいよ。あっ」


ゆか「どうしたの?」


ひかり「あんまり博士から離れたら、はぐれちゃうかもって」


ゆか「あたし言ってこようか?」


ひかり「じゃぁお願い。あ、もし飲み過ぎてるようなら……」


ゆか「わかった止めとく」



間(その頃博士)



飲料屋「おお! 姉ちゃんいい飲みっぷりだね!」


博士「ぷはー!! まだまだこんなもんじゃないよ!」


飲料屋「おらぁ54年生きてきたが、おめぇさん程呑める奴は会ったことねぇ!」


博士「へぇおじさんは呑めるのかい?」


飲料屋「おうよ! 一升くれぇザルだぜ?」


博士「ふーんじゃぁ賭けてみる?」


飲料屋「賭け?」


博士「私が勝ったらこのお酒全部おじさんの驕り。おじさんが勝ったらおじさん呑んだ分まで私が驕るってのは?」


飲料屋「ははっいいねぇ。乗ったぁ!」


博士「よっしゃ! それじゃあさっそく……」


ゆか「ちょっと何してるの?博士」


博士「え!? ゆか!!」


ゆか「ひかりに頼まれて来てみれば……ドンピシャだったわね」


博士「頼む! ひかりには黙っててくれ!! 後で何か買ってやるからさ!」


ゆか「いや、そうもいかないのよね。ひかりお母様から頼まれてるから、ここで見過ごして後でみっちり怒られるのは目に見えてるもん」


博士「そんな!」


ゆか「ていうことで、はい撤収〜」


博士「なー! 待て! まだ飲みたりてないんだぁぁぁ!」


飲料屋「又な姉ちゃん! 賭けは今度やろうぜ!」


博士「うわー!!」


観衆「(↑被せるように)おぉぉ!!!」


ゆか「何事?」



SE:射的で射つ音



ひかり「わぁぁ……」


アイ「当たった」


射的屋「すごいじゃないか!! 6発全部当てるなんてな !」


アイ「へへへ」


ゆか「何、あれ……射的の名手?」


博士「はっはっは、いくらアイが普段おっとりとしてるからとはいえ、ロボットを舐めちゃいかんよ」


ゆか「ロボット……」


射的屋「それじゃぁこれをあげよう」


アイ「これは何?」


射的屋「明後日に鉱石の展示会がこの村の近くであるんだ。何でも、博物館から持ってきた貴重な石で二週間しか開かないそうだ。よかったら二人で行っておいで」


ひかり「いいんですか?」


射的屋「いいんだよ! いいもの見せて貰ったお礼だから受け取って。チケットは二枚だが、一枚で二人入れるから、お友達を誘うかあげるか好きにしていいよ」


ひかり「ありがとうございます」


射的屋「ここらへんじゃデートする所もないからな」


ひかり「デデデ、デートォォォ!?」


射的屋「違ったか?」


アイ「ひかり、デートってなn……」


ひかり「はわわわ! これありがとうございます!! 失礼します!」


ゆか「あーあ顔真っ赤にしちゃって」


博士「なんだ嫉妬してるのか?」


ゆか「さぁどうなんだろう」


博士「そろそろお前らに百合設定が出来てもおかしくないな」


ゆか「え!? ちょっとやめてよ! 別にそういうのじゃないんだから!!」


博士「冗談だよ。それでどうしたんだ」


ゆか「……なんだかアイ君にひかりを持って行かれそうな気になって」


博士「お前、やっぱり……」


ゆか「違うって言ってるでしょ!」


博士「はははっ悪かったって! そんな叩くな」


ゆか「もう……この間アイ君とひかりが喧嘩したでしょ?」


博士「あぁ」


ゆか「次の日仲直りさせようとしたんだけど、私の力なんて必要ないくらいあっさり仲直りしちゃって。そしたら、急にひかりが遠くにいるようで……私が側にいるのは、邪魔な気がして……そう思うとなんだか寂しくなってきてさ……」


博士「父親みたいな思考だな?」


ゆか「父親ぁ? ……あ、でも納得いくかも」


博士「独り立ちして行く娘が恋しぃ離れないでぇ、とかか?」


ゆか「あはは! ……でもひかりには幸せになって欲しい、とってもいい子だから、だから……」


博士「アイの事か?」


ゆか「うん……あんな風にしてるけど、ひかりもこの間の事でアイ君に感情とか無いことを痛感したと思う」


博士「それでもあいつは、アイの側にいることを選んだんだ。無理に友達でいようとしなくていい、好きなら好きのままいればいいんだ」


ゆか「うん……」


博士「寂しいか?」


ゆか「分かんない。寂しいような、応援したいような、複雑な気持ち。ひかりとは幼稚園から一緒だけど、こんなの始めてだから、どうしていいかも分かんない」


博士「見守ってやれ、自分がどうしらいいか分かるまで見守ってやればいい」


ゆか「なんだか博士、恋愛のスペシャリストみたい」


博士「伊達に年は食ってないよ」


ゆか「ボケのセンスは全然だけど」


博士「あ、お前そういうこと言うか?」


ゆか「はははっ! ありがとう、博士」


博士「いつでも相談してくれ、なんてたって恋愛のスペシャリストだからな」


ゆか「はは! だねっ」



少しの間(灯籠流し会場)



ひかり「あった、あった。ここで流す灯籠が貰えるの」


アイ「灯籠って?」


ひかり「火をつける道具のことだよ。元々は、盆供養のために精霊(しょうりょう)に供える灯火なんだよ」


アイ「灯籠流しは、この灯籠を流すの?」


ひかり「そうだよ」


アイ「どうして?」


ひかり「お盆の終わりに、この灯籠に火をつけて川や海に流すの。自分達のご先祖さまを見送ったり、こういう水辺で亡くなった人や、無縁仏っていう供養をしてくれる人がいない人達も、一緒に供養してあげるの」


アイ「僕が流しても供養になるのかな?」


ひかり「勿論!」


アイ「よかった」


ひかり「ほらアイ君! あっちで火をつけてもらって、川に流しに行こう?」


アイ「うん!」



少しの間



ゆか「あちゃー、完全にはぐれちゃったね」


博士「そくもまぁ、こんな小さい村の祭りに、これだけ集まるもんだな」


ゆか「こういう時だけ村の人口がわっと増えるんだよね」


博士「おお流れてる、流れてる」


ゆか「綺麗。毎年見てるけど、これだけは飽きないわぁ」


博士「灯籠流しかぁ、そういや一回しかやったことねぇな」


ゆか「いつ?」


博士「うーんそうだなぁ……5年くらい前か……」


ゆか「もしかして、旦那さんとカノカレだった時!?」


博士「ああ」


ゆか「そっかぁいいなぁ。私も彼氏来たいなぁ」


博士「毎年来てるのにか?」


ゆか「彼氏がいるだけで、全然違うの! ……と思う。うーんどうなんだろう」


博士「きっと全然違うと思うよ。今見ているのより、もっともっと灯籠の火が輝いて見えるはずだ」


ゆか「今のひかりには、そう見えてるのかな?」


博士「多分な」


ゆか「やっぱり、ちょっと悔しいな……」



少しの間



ひかり「よいしょっとこれでよし」


アイ「わぁどんどん流れていくね」


ひかり「今年はいつもより多い気がするな」


アイ「ひかり! 僕達の灯籠あっちに行ったよ! 追いかけようよ」


ひかり「え!? ちょっと待ってアイ君!」


アイ「ひかり早く」


ひかり「この人混みを意図も簡単に……待ってアイ君! 私浴衣だから走れな、きゃっ、ごめんなさい! す、すみません通ります! アイ君! あれ? ……ア、アイ君? どこ!? うそ……はぐれちゃった……痛っ、す、すみません」


アイ「ひかり!」


ひかり「アイ君! よかった……」


アイ「ひかり大丈夫?」


ひかり「うん、平気」


アイ「ごめんねひかり。急に走ったりして」


ひかり「うんん、大丈夫だよ。でもはぐれると大変だから」


アイ「はい」


ひかり「え?」


アイ「手繋ごう?」


ひかり「へ?」


アイ「手を繋いでいたら、はぐれることないでしょ?」


ひかり「う、うん。そうだね。……」


アイ「ひかり?」


ひかり「な、なに!?」


アイ「手、繋がないの?」


ひかり「ふえ!? いや、あのっ……つ、繋ぐ……」


アイ「うん」


ひかり「……」


アイ「綺麗だね」


ひかり「え!?」


アイ「灯籠」


ひかり「あぁ、うん……」


アイ「灯籠流しは年に一回しかないんだよね?」


ひかり「うん。二回やるところもあるけど、ここは一回しかしないよ」


アイ「来年も来たいな」


ひかり「こ、来ようよ!」


アイ「え?」


ひかり「また来年も一緒に……あの、皆で!皆で一緒に来ようよ!」


アイ「うん」


ひかり「……綺麗だね、灯籠。今まで見たことないくらい、綺麗……」


博士M「ん? あれは、ひかりとアイ……手を繋いでるのか? ……ゆかには、あのことを話して置いた方がいいか?」


ゆか「どうしたの?博士?」


博士「……」


ゆか「博士?」


博士「……ゆか、ちょっと話がある」


ゆか「な、なに? いきなり深刻な顔して」


博士「真面目な話だ。だけどこれは全部私の憶測での話だけどな」



間(帰り道)



博士「じゃぁな。気をつけて帰れよ」


ゆか「わーかってるって」


ひかり「博士、今日はありがとう」


博士「いいってことよ」


ゆか「まったねーアイ君!」


アイ「うん、またね、ひかり、ゆか」



少しの間



ゆか「で、どうだったの?」


ひかり「どうって……何が?」


ゆか「しらっばくれないでよ! 2人きりだったんでしょ〜? 何か発展がないわけじゃなでしょ?」


ひかり「別に、そんな……」


ゆか「お!? その顔は何かあったなぁ?」


ひかり「何もないって!」


ゆか「まぁでも、ハグまで行ってるわけだし、あとやることと言えば2つくらいじゃない?」


ひかり「何それ?」


ゆか「おやおや、ひかりちゃんはお子ちゃまなんだから全く。そんなひかりちゃんの為に教えてあげよう、一つ目はね、チューとか」


ひかり「ちょっと! 何変なこと考えてるのよ!」


ゆか「だってぇひかりが素直に教えてくれないから、こっちは想像しか出来ないんだよ?こっちの身にもなってよ〜」


ひかり「もう! ゆかなんて知らない!置いてってやるんだから」


ゆか「アーン、ごめんってばひかり〜」


ひかり「……」


ゆか「どうしたの?」


ひかり「忘れそうになる……アイ君がロボットだってこと、忘れそうになるの」


ゆか「でも、好きなんでしょ?」


ひかり「……うん」


ゆか「だったらいいじゃん。無理に友達にならなくても、好きなら好きのままいればいいんだよ。……って誰かさんの受け売りだけど」


ひかり「誰かさんって?」


ゆか「恋愛のスペシャリスト」


ひかり「(少し笑って)誰よそれ?」


ゆか「内緒!」


ひかり「なによそれ」


ゆか「いいからいいから。早く帰ろう? 遅くなったらお母さん達がうるさいし」


ひかり「もう、待ってよゆか」



少しの間



博士「どうしたアイ、手ばっかり見て」


アイ「うんん、なんでもない」


博士「……(少し笑う)」


アイ「……ねぇ博士」


博士「ん?」


アイ「前に博士が、村の外かここにいたいか聞いたよね?」


博士「ああ」


アイ「僕、ここにいたい」


博士「!」


アイ「ひかりと約束したんだ。また来年来ようねって」


博士「……」


アイ「だからここにいたい。村の外に何があるか僕にはわからない、知りたい。けど、僕はここにいたいんだ。ひかり達と一緒にいたい」


博士「……うん、わかったよ。お前がそういうなら……」


アイ「ありがとう、博士」


博士M「和敏さん、あんたの作りたかった物が少しずつ解ってきた気がするよ。あんたは……」





アイ(絵本)「ロボットは思わず足を止め、その音に聞き入りました。長旅で疲れた身体にその音は染み渡り傷を癒し、心臓部が静かに、けど強く打つのがロボットは心地良かったのです。するとロボットの頬に小さな水の粒が、一つ、流れ落ちました。少女がロボットに気づき、弾くのをやめるとロボットは少女に聞きました。『その音は何?』少女は答えます。『ただの音じゃないわ。これは私の心の音、私は私の心を音で皆に届けているの』」



電話が鳴る



射的屋「もしもし? 私ですが、はい、手筈通りチケットは渡しました。近い内に博物館に行くかと……ええ……わかりました、はい。ははっ私も楽しみです。それでは、又」



電話が切れる

(「ツーツー」という音でフェードアウト)

初心者の拙い文章ですが、楽しんで頂ければ幸いです。

本作品はユーザー様でなくても、コメント出来るように設定しおります。どなた様でも気軽に要望、ご意見、アドバイスがございましたらご連絡ください。


最後までお読み頂き誠に恐縮です。



本作品は『D&K Project』にてボイドラ化、進行中です。

公開はまだ未定なので決まり次第発表いたします。


『D&K Project』ホームページサイトURL

http://dk-project.com/index.html

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