第三章 〜真意〜
登場人物
アイ:AIロボット。人間と同じように話すが、そこに感情という概念はない。
ゆか(14歳):ひかりの親友。明るく元気でムードメーカー。
博士(39歳):アイの生みの親。男っぽい喋り口調で、かっこいいおばs・・お姉さん。
村長(55歳):ひかり達の住む村の村長。村の復興を第一に考えている。
【配役】計4人 男:2 女:2
アイ♂:
ゆか♀:
博士♀:
村長♂:
博士「くぅ! 生き返るねぇ。アイー!」
アイ「何? 博士」
博士「お前体の方は何ともないか?」
アイ「うん、平気」
博士「検査結果も異常なかったし、大丈夫だろ。充電だけ忘れるなよ」
アイ「わかってる」
博士「(ゴクゴク)ぷはぁ! アイ〜もう一つ取ってぇ」
アイ「ダメ。博士飲み過ぎ」
博士「それもひかりから教わったのか?」
アイ「うん、2缶以上は呑ませちゃダメって」
博士「たっくいらねぇことまで教えやがって。いいよ! 今日はこのまま寝るから!」
アイ「それもダメ。風邪引くから布団で寝ないと」
博士「お前、だんだんお母さんみたいになってきたな」
アイ「お母さん?」
博士「まぁ教えてるひかり自体がお母さんみたいな性格だし。あれは老けるな・・」
アイ「博士、お母さんって何?」
博士「んーとな、なんて言えばいいかな? 自分のことを産んでくれて、愛情をいっぱい注いで育ててくれる女性を、お母さんって言うんだ」
アイ「ゆかやひかりにもお母さんがいるの?」
博士「そりゃもちろん。じゃなきゃ産まれてないからな」
アイ「じゃぁ僕のお母さんは博士だね」
博士「お前って奴はかわいいこと言いやがって! こりゃひかりが惚れるのもわかるわ」
アイ「惚れる? ひかりが?」
博士「お前にベタ惚れだぞ?」
アイ「惚れるってどういう意味?」
博士「もうどうしようもないくらい、好きで好きで仕方ないことだ」
アイ「博士」
博士「どうした?」
アイ「好きって何?」
博士「えっあぁ〜そうだな……その人のこと大切に思うこと、かな?」
アイ「それはどうやったらわかるの?」
博士「それは、その……そのうちわかるよ! いいから今日はもう寝ろ、な?」
アイ「わかった、お休み博士」
博士「お休み。……はぁまいったな……」
携帯電話が鳴る
博士「もしもし?」
ゆか「あ、博士? ごめんね、こんな夜お遅くに」
博士「別にいいよ、のんびりしてたし。どうした?」
ゆか「ひかりのことで相談があってさ……」
博士「あぁ私もちょうどそのこと考えてたんだ」
ゆか「あっやっぱし気づいてた?」
博士「バレバレだからな」
ゆか「あたし初めはロボットとはいえ、単純に男の子に慣れてないだけかと思ってたの。でも今日の見てたら、結構マジっぽくて」
博士「頭では理解してるんだろうけど、気持ちはそうは行かないからな」
ゆか「ひかりはさ、頭いいけど、めちゃくちゃ純粋なの。女のあたしでも守ってあげたいくらい。だからなるべく傷ついて欲しくなくって」
博士「けどこれはあいつ自身で気づかなきゃいけいことだからな、全く傷つかないって方法はないよ」
ゆか「うん、わかってる。……ねぇ博士」
博士「なんだ?」
ゆか「ずっと気になってたんだけど、どうしてアイ君を作ったの?」
博士「話すとちょっと長いんだけど、私さ、実は結婚してるんだよね」
ゆか「……ええぇぇ!!!!」
博士「そ、そんな驚くか?」
ゆか「いや、あまりにも自堕落な生活を送ってるもんだから、年イコール彼氏いない歴かと」
博士「お前一体私をどういう目でみてるんだ」
ゆか「厨二病博士」
博士「まだ引きずってんの!?」
ゆか「いやぁあまりにも衝撃的で」
博士「私の印象って……」
ゆか「まぁまぁ、で、結婚してたんなら、旦那どうしたの?」
博士「死んだんだ。3年くらい前に。元々私も旦那もロボットを作る研究をしててな、そのまま仲良くなって、付き合って、結婚もして、子供も出来た」
ゆか「子供?」
博士「産まれてきたら目一杯愛してあげるつもりだった。けど出来なかった」
ゆか「産めなかったの?」
博士「流産しちゃってね。それから子供を作りにくい体になって、後にも先にもあの人の子を身ごもったのはその一回だけ。それから何年かして、旦那がガンを患ったんだ。末期でどうしようもなくって、3年前に亡くなった」
ゆか「研究はどうなったの?」
博士「旦那が中心でやってた研究でね、資金源のスポンサーは旦那だけに着いてたみたいなもんだったから、旦那が亡くなった途端どこのスポンサーにも相手にして貰えなくなった」
ゆか「ひっどい話」
博士「そんなもんだよ世の中。おかげで研究は打ち切り、でも同時期にこの村から誘いがあってね、殆ど足元を見た金額だったけど、どうしても諦められなくってOKしたんだ」
ゆか「なんかいいねそれ」
博士「なかなか大変だったぞ? 手配も準備も全部一人でしたからな」
ゆか「ねぇ子供って男の子? 女の子?」
博士「男の子。産まれてたらちょうどお前らと同じ位」
ゆか「そっか……」
博士「私もひかりのこと言えないよ。アイを自分の息子と重ねて、叶わなかった夢を叶えさせて貰ってるからな」
ゆか「でも旦那さんとの研究で作ったんだから、二人の子供みたいなものだよね」
博士「うん。大事な息子だよ」
ゆか「よかった、博士が家事をやらすためだけに作ったんじゃなくて」
博士「まぁそれもあるけどな」
ゆか「うわっマジで? 最低〜」
博士「だって私、魚とか釣れるけど、焼くぐらいしか料理出来ないし」
ゆか「科学者のくせに、野生的発言ね」
博士「今でもアイに防水を付けた自分を評価するよ」
ゆか「さっきまでのいい話がちょう消しじゃん」
博士「いいだろ? なんだって。息子に家事をさせて何が悪い!」
ゆか「厨二病じゃなくて、ただのダメ人間だった」
博士「なんか言ったか?」
ゆか「なんでもないわよ! もう遅いから私寝るね。お休みなさい」
電話が切れる
博士「あ! なんだよあいつ、自分から掛けてきたくせに」
携帯電話が鳴る
博士「あぁ? 今度は誰だよ……村長? (電話をとる)はい」
村長「やぁ博士、すみませんねぇこんな時間に」
博士「あ、いえ大丈夫ですが、何かありましたか?」
村長「いや、実はね博士が造ったアイ君なんですが、うっかり知り合いに少し話してしまってねぇ」
博士「まぁ公になるのは抑えたいですが、そこまで秘密裏にしている研究ではないので問題はありません」
村長「おぉそうですか! よかったよかった。いやぁ、あまりに嬉しかったもんですから、ついうっかりね」
博士「期待にお答えできて良かったです」
村長「それでなんですが……」
博士「はい」
村長「その知り合いが、アイ君の研究を是非うちで引継ぎたいと言っていてね?」
博士「は?」
村長「博士もこれから一人で研究するにも限界がある。金額だって悪くない。引継いだ後は、研究リーダーとまではいかないが、博士にも研究に参加して欲しいとのことです」
博士「何勝手なこと言ってるんですか!? あの子は私にとって大切な(遮られる)」
村長「(遮る)息子とでも言うおつもりで?」
博士「っ……!!!」
村長「旦那さんを亡くされて、アイ君が形見であるのはわかっています。ですが博士、あれは機械ですよ? 貴方のその思いには一生答えないでしょう」
博士「……」
村長「貴方にとっても悪い話ではない。いいお返事、お待ちしてますよ」
電話が切れる
博士「……そういうことかよ…………くそっ……くそっ!!」
初心者の拙い文章ですが、楽しんで頂ければ幸いです。
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最後までお読み頂き誠に恐縮です。
本作品は『D&K Project』にてボイドラ化、進行中です。
公開はまだ未定なので決まり次第発表いたします。
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