乱入ビジター
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(ものは試しと言ったものの)
(まさか快諾するとはな)
(・・・まあ、悪い奴ではなさそうだ)
ガチャッ
「む?」
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「ふぅ・・・」
落ち着いた。
所用時間は五分。
自分のことながら、耐性無さすぎるだろ。
笑いかけられただけで逃げるってどうよ?
「渚ァァァァァァ!」
「なんだ?」
っていうか、この声。
ヤバい。
「おいおいおいマジかよ・・・っ」
ドンドン!
外からトイレのドアを叩かれる。
人の部屋平然と上がりこんでこんなことをできるのは一人しかいない。
「渚ァァァァァァ」
「説明はするから一回落ち着け!」
朝原桃花。
大学に入ってからの女友達で「落ち着いてなんか居られないわ!アンタの貞操がかかってるんだから!」そんなこと考えてる暇はくれないらしい。
取り敢えず出ねえと誤解が生まれそうだ。
もう生まれた?知るか。
ガチャ
「いいから落ち着「女の子連れ込んで強姦なんて、リアルに興味無いって言ってたじゃない!」張り倒すぞド変態」
うざい五月蝿い鬱陶しい。
3Uとも言われるのがこの女だ。
もしくは残念美人。
なんで友達なんだっけ?
ああ、同じアパートに住んでるからか。
「落ち着いてなんて言われて落ち着ける状態じゃないわよ!」
「今が何時だと思ってる」
「はぁ!?時間なんてアンタの貞操問題に比べれば瑣末モノ!」
マジでうるさい。
耳元で怒鳴るから聞き取りにくいし。
「どうしたのだ?」
部屋のドアの向こうから首だけ出したコノハ。
何事かと言われてもな・・・
「そうよ!冗談は置いといて、あの子は何?」
冗談で貞操とか強姦云々言うお前はどうかしてる。
「私か?」
突然のご指名に目を丸くするコノハ。
「あー・・・」
なんて言えばいいんだこれ。
まあ、言い訳しとくか?
「何って、普通の女の子だ」
「普通・・・」
何が気になったのかコノハは俯いてしまった。
「そうじゃ無くて、なんでアンタの部屋にいるの?」
「あー、いろいろあってな」
まさか魔東京の話を信じることもないだろうし、適当に流す。
というか・・・
「お前は何で俺の部屋に入ってきた」
「ハルちゃんから話聞いたから。親戚にあんな子いたの?」
ハルちゃんっていうのはさっき会った管理人さん。
春原だからハル、だそうだ。
説明不要な直球ネーミング、さすがです。
「ん・・まあ、居たな」
居ません。
あんな美人が居るなら間違いなく俺は自慢してる。
「ふーん?」
ジト目の朝原。
まあ、確かに苦しい言い訳だ。
「そういや、どうやって入ったんだ?」
「鍵かかって無かったわよ」
「あー・・・」
焦ってたしな。
よりによってそれが災いするとは。
「それより・・あの子、可愛いわね」
さっきまでの3U状態は何処に行ったのか、小声で耳打ちしてきた。
「コノハか?」
「このは、っていうんだ」
「上が・・あめのみなか、とかいうらしい」
「天御中木花?」
そこで何か引っかかったのか、考え込む朝原。
そして、
「それって、神様の名前じゃない?」
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