無自覚ノーマリスト
\\\\\\
(この世界では裸身は恥ずかしいものなのか?)
(・・・なら、あの男の慌てようも解るが)
( 私が良いといっているのだから、気にすることもないだろうに)
//////
「ん~」
俺は独り身な大学生。
女装趣味なんてあるはずもねえから、必然と服も男物しかない。
「アイツなら気にしないか」
取り敢えず隠れる所が隠れたらいい訳だしな。
「どれでも構わんぞ」
「お前は馬鹿なの?」
「いきなりなんだ」
「こっちのセリフだよ」
まあ、予想はしてたよ?
もしかしたら待たずにくるんじゃないか、とか。
でもそこまで馬鹿じゃないと思ったんだよ。
はっはっは、馬鹿だったね。
「取り敢えずお前は元の姿に戻ってくれ」
「何故だ。お前の願望通りの身体だぞ?」
だからだよ。
俺も男という生き物なんですよ?
「いいから戻ってくれ。納得は充分したから」
「戻るのにも多少の力を使わねばならん」
「なら使え」
「・・・」
物凄く不満そうな雰囲気が背後から伝わってくるが、俺は振り向かねえぞ。
「前の方がお前の自然体なんだろ?」
「ああ」
「だったら元の状態の方が楽だろうが」
変身してるってことは、維持するのにもそれなりに負荷がかかるんじゃないか?
まあ漫画からの知識なんだが。
「・・・ほう」
「なんでそこで感心する」
「別に、何でもない。そこまで言うなら戻ろう」
「ここでか?」
「あちらの部屋で戻る。服は何でもよいぞ」
・・・バタン。
向こうの部屋のドアが閉まった。
ってことは出ていったな。
「なんだアイツ」
やけに素直に頷いたな。
もうちょい粘られるかと思ってたが。
「これでいいかなっと」
選んだのはジャージ。
一晩泊めるくらいならこれで充分だろ。
もしかしたら、今日限りじゃないかもしれないけどな・・・泣きたい。
「さて」
コンコン
「コノハ、もういいか?」
「構わん」
このまま開いて入ればまた毒を見ることになる。
ってことで、
「服入れるから、着替えたらもう一回声掛けろ」
「入って来い。遠慮は無用だ」
「嫌だ」
「構わんと言っておるのに」
だから無理だって。
遠慮以前に倫理に反するわ。
「いいから、ほら」
ドアを少し開いて投げ入れてやる。
「ああ、すまぬな。感謝する」
//////




