ビフォアザタイフーン
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(ナギに可愛い女の子の親戚がいるなんて・・・)
(ああっ、見たい!触りたい!)
(隠してるナギが悪いんだからね)
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(漫画同好会)
「ん?なんだよ渚、顔が憔悴しきってんぞ」
同好会の部室に入ると居たのは水瀬桜。
男っぽいが、れっきとした女。
むしろ一番女っぽいのはこいつかもしれん。
「いろいろあったんだよ・・・」
「へぇ?」
『何があったんだ?』と促すような目。
正直話したくない。
「聞いて驚いてよミナちゃん!」
いきなり部室に入ってきた大門。
朝原は用事とかなんとかで一時別行動だ。
「いつになくテンション高いな」
「うんっ」
苦笑いしながら大門の頭を撫でる水瀬。
・・・
水瀬がだいぶ大人っぽい雰囲気だから親子に見えなくもない。
「ナギにね、可愛い親戚の女の子がいるんだって!」
いきなり暴露してるし。
が、実に悲しいことに俺には拒否権が無い。
「可愛い親戚?」
「トーカが見たんだってさ」
「そんなの居たのか?」
「まあな」
異世界のお姫様(?)ですけどね。
「それでね、今日ナギの家に行くの」
ハイ。
あの後、結局脅しに負けて俺が折れました。
ふっ、男卑女尊ここに極まれり。
「渚の家に?」
「見せてくれるんだって」
は?
誰が見せるつったよ。
強制的に来るだけだろうが全く。
「・・・」
なに、その『面白そうじゃん』みたいな視線。
「お前まで来るとか言うのか」
「いいじゃねえの。お前の家っつかアパート?学生街のだから部屋広いしさ」
学生街。
学園都市って程ではないが結構大きな街だ。
そこのアパートの一つに俺とか朝原が住んでる訳だ。
「・・・別にいいけどな」
いっそ殺してと思う程悲しいが、俺には拒否権が無い。
まあ、水瀬はそこまでイってる奴じゃないから抵抗はさほど感じない。
「やけに素直だねナギ」
「水瀬はお前らとは違うからな」
「違うって・・確かにミナちゃんはカッコいいけど」
そこじゃねえよ。
確かにカッコいいけども。
「夕紀、それ褒めてんのか?」
「勿論だよ」
「・・・なんだかなぁ」
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