回想バッドエンド
//////
「・・・・・・」
「どうしたの?入りなよ」
「ちょ、押すなって」
放送室に入るのにここまで躊躇うこともなかなか無いと思う。
もう・・・悪い予感しかしない。
言わば、火の中に突っ込む位バカな事しようとしてるってことだからな。
「よし・・・」
「大丈夫?」
全然大丈夫じゃないっす。
出来るなら逃げたいところだよ。
ガチャ!
「なん『ゴッ』だルァアア!?」
鼻が潰れたゥァアアアァァア!!
「うわー、痛そうだね」
痛いよ!
だって鼻血出てるし!
「あら?居たのね」
涼しげなこの声・・・っ!
「痛いだろうがこの馬鹿女がァ!」
「ヘンタイ男に言われたくないけど」
「あぁ!?」
まさか昨日のコノハのトラブルに続いて二発目のドアが来るとは・・・
「なんで夕紀もいるの?」
「一緒にご飯食べてたからついて来たの」
「そう、丁度良かった」
ガン無視ですかお前ら。
もういいよ、慣れたよ。
「渚、入って来なさい」
「何なんだよ・・・」
「私も入っていい?」
「もちろん」
大門は嬉しそうに笑って中に入って行ったが・・・俺は逃げたいね。
まあ、入るけども。
「ちょっと、血で汚さないでよ?」
『・・・何様だァァァァ』
って叫びたいけど我慢。
どうせ言ったところで相手にしないだろうし。
「念の為に言っておくが、この鼻血は全面的にお前のせいだから」
「そうね。でも汚されるのは困るから」
ハイ、と差し出したのはティッシュ。
「鼻に詰めろと?」
「それ以外に何に使うの?・・ああ、事後処理?」
「何の事後だよ」
「そんな恥ずかしい事・・私、言えないっ」
「あー、ソウデスカ」
そろそろ殺意が芽生えてきたなーアハハ。
とりあえず素直に受け取り鼻に詰める。
正直恥ずかしいが仕方ない。
「・・随分と間抜けな顔にゲフン何でもないわ」
「今すぐお前をぶん殴りたい」
「そして強姦?とんだ強姦魔ね」
「お前なぁ・・・っ」
ああああああ落ち着け俺。
これは挑発だ。
それにノるのは思うツボだ。
「・・もういい、入るぞ」
「よく耐えました」
「そんな賞賛いらねえよ」
「ツンデレ?」
「ちょっと黙れお前」
------
「ナギに親戚の女の子なんていたっけ?」
「え~っとまあ、居たよウン」
こういうことか。
放送室に入ってからの朝原の第一声は、
『公開処刑と身内で暴露、どっちがいい?』
コノハのことについて部活で暴露するか、校内アナウンスで公開処刑されるか。
どっちかを選べということらしかった。
「本当かしらね」
「ホントだっての」
当然、俺は部活内暴露を選んだ。
それなら嘘を貫けば問題ないし。
「ねえねえ、その子って可愛いの?」
大門は興味津々。
まあ、こいつも歪んだ性癖持ってるからな・・・
「ソソるわよ」
「ソソるの!?」
「何変なこと吹き込んでんだ」
「嘘は言ってないわ」
だからってわざわざ伝えなくていいだろ。
「ナギ」
「なんだ」
「その子、見たい」
「は?」
これは・・・ヤバい。
「連れてくるわけにもいかねえだろ」
「なら見に行っていい?」
目が輝いてらっしゃる。
「いや、何言ってんのお前は」
「いいじゃない。女の子が家に来てくれるって言ってるのよ?」
・・・こいつ。
「誘導しただろ朝原」
「ナンノコトカシラー」
どんどん状況がややこしくなるじゃねえか。
もうこれ以上の厄介ごとは御免だぞ。
「ナギ!」
「はいっ?」
こいつがここまで興奮するのも珍しいからビックリした。
「今日、行くから!」
「ちょっとまてやコラ」
こんな女が家に来ても嬉しくねえ。
コノハが人間不信になりそうだし。
「私も行くから」
「お前は一回昇天してこい」
「渚、私・・・イッちゃうぅぅ(棒)」
「訂正。地獄に堕ちろ」
ホントこいつはエロネタしか言えないのか?
病院に行った方がいいと思う。
「親戚なんでしょ?なんで嫌なの?」
「そうよ。問題なんてないわよね?」
「・・・・・・」
言い返せん。
いっそのこと開き直るか。
「嫌だね!というかもう部活内暴露したからいいだろうが!」
「じゃあ変更します」
「は?」
「公開処刑かお宅訪問、どっちがいいかしら?」
「ふざっけんなこの馬鹿女がぁぁぁ!」
(回想終了)
//////