回想ララララー
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「あ~・・・眠いな」
午前の講義(ほぼ実技だが)を終え、昼飯を友人・・って言っていいのか分からんが、一緒に食っている。
「どうしたのナギ?いつも以上に虚ろな目だね」
大門夕紀。
こいつも大学からの友人だ。
同じクラスかつ同じ同好会(漫画同好会という名の雑談会)ってことで何かと一緒にいたりする。
「いつもは虚ろな目なんてしてねえよ」
「そっか。そういえば女の子の絵書いてる時は目輝いてるもんね~」
「変態みたいに言うな」
まあ確かにそうなんだけどな。
「え・・・?」
おい、なんだその目は。
ホラー漫画で主人公達が幽霊見たときみたいな目でこっち見てるんですけど。
「お前はホント俺の神経逆撫でるの好きだな」
「いや、割と本気で驚いちゃった」
えぇ・・・
どんだけ俺の扱い酷いの?
「まあ、それはさておいてさ」
さておくな。
「俺にとっては重要なんだが?」
「ふーん」
興味ありませんかさいですか。
俺だって人間なんだからもうちょっと優しくされたいもんだよ。
「で、何がさておきなんだ?」
悲観しても仕方ないから話を戻す。
大門は神妙に頷くと、
「今日さ、新しいエロゲーが発売されるんだよね」
「知らねえよ・・・っ!」
そんなことが俺より優先順位高いのかよ!
噫、泣きたいです神よ。
「『お仕置き!あの娘この娘を調教し「ちょっと黙れそこのビッチ女」よう・・・って酷いこと言わないでよ」
酷いのはお前の頭だろ。
何平然と完璧アウトなタイトル口走ってんの?
「ビッチってお前にピッタリの言葉だと思うけどな」
「私は純潔なる処女だよ?見てみる?」
「そういう事言ってる時点でアウトだっつってんだよ!」
というか真顔で言うのやめてくれ。
『見てみる?』とかなに言ってんのこいつは。
「面白そうなのに~」
「買うのは勝手だがわざわざ報告すんな」
反応に困るわ。
こういうところがあるからイマイチ女として見れないんだよな。
見た目は整ってんのに残念過ぎる。
「一緒に買いに行こ?」
何でそうなった。
「嫌だよ馬鹿が」
何が悲しくて女(仮)とエロゲー買わなきゃならねえんだ。
「興味無いの?」
「頼むから興味以前の問題だという事に気づいてくれ」
「え~、残念」
しゅん、としてるが騙されるな俺。
同情の余地は無いぞ俺。
「仕方ない。一人で買いにいこっかな・・・」
「始めからそうしろ」
「一緒に行く方が楽しいもん」
「あのなぁ・・・」
なんとなく罪悪感を感じてる俺は優し過ぎると思う。
『連絡します。渚怜クン、今すぐ放送室に来なさい』
「・・・はい?」
いきなりなんだ。
「今の声ってトーカだよね?」
トーカというのは大門の朝原に対する呼び方だ。
「だな」
猛烈に嫌な予感がする。
・・そういや、公開処刑とか言ってたな。
マジで実行する気かよ。
さて。
「ナギさー、逃げようとか思ってない?」
「何の事だかサッパリ分からなんですよ?」
「日本語破綻してるって。落ち着きなよ」
落ち着けるかっての。
このまま行ったら絶対マズい事になるもの。
「冷静に考えたらさ、すっぽかした方がマズいと思うよ?」
「あん?」
・・・いや、確かに。
近くにいた方が制止もできるか。
「・・・」
「自殺しそうな顔してるけど大丈夫?」
「問題は大有りだが・・・行くか」
「じゃあ私も行くね」
よし、ってそうじゃないだろ。
「何でだよ」
「私だけ仲間外れなんて嫌だもん」
「あー・・・」
仲間外れなんて言われたら「来るな」とか言えねェェェェ
「分かった分かった。余計なことはすんなよ?」
「ガッテン承知でぃ」
「・・・」
嘘くせぇ。
まあ仕方ないか。
「んじゃ行くぞ」
「おー」
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