玄関前コスプレイヤー
大学から帰宅しバイトへ出て、我が家に帰ってきた今現在。
俺は日常離れした状況に直面した。
「スー・・・スー・・・」
「・・・」
なんだこれ。
なんでこんなのが俺の家の玄関に倒れ込んでるわけ?
「スー・・・スー・・・」
ってか寝てるよね?
家の中に入りたいんだけど、邪魔で入れない。
「コスプレイヤーなのかこいつ・・・?」
東京23区、日本の都市の中心にあるアパートで俺は一人暮らしをしているわけだが。
そんなしがない一般人の俺の部屋の前で、魔界の女王様的なナニカのコスプレをした女が寝てるとは・・・どこのラブコメ漫画の展開ですか?
ぶっちゃけそんなイタい子とラブラブするなんて願い下げだぞ。
「マジで邪魔だな・・・起こすか」
放置しておく訳にもいくまい。
しかし、こんな布面積の少ない服で東京を歩くとは、衆人環視の中だと興奮する的な変態なんだろうか?
「おい、起きろ」
「スー・・・スー・・・」
起きませんよね分かってましたとも。
あれか、揺すって起こして女にドン引かれなきゃならんのか。
「メンドくさ・・・」
流石に気持ち良さそうに寝てる女を蹴り起こすなんてことはできねえしな。
いや、蹴り起こしたいけどね?
「邪魔だから起きろって」
ユサユサ
「ぅん・・・スー・・・」
起きないんだけど。
そういや、この光景ヤバくないか?
『魔女(?)コスプレの女の子が倒れている横で、一人の男が体に触れて揺すっている』という状況。
見られたら社会的に死ねる気がする。
「渚さん・・・なにしてるの?」
キマシタワー
超絶バッドタイミングがキマシタワー
よりによって管理人のお姉さん(春原香澄さん)に見つかったわ。
どうする?
(俺の親類だと偽って誤魔化す)
(俺の彼女だと言って誤魔化す)
(俺が攫ってきいやこれはムリ)
さて・・・
「ああ、香澄さん。こいつ親戚でして、こんなとこで寝ちゃったらしいんですよ」
苦しすぎるだろこれ。
「あら、よっぽど眠かったのね」
しかしそれが通じるのが香澄さん。
いわゆる天然。
天然ブラボー。
「ホント困りますよ。今部屋にいれるんで、心配しなくて大丈夫です」
「手伝いましょうか?」
「いやホント大丈夫なんで」
「分かったわ。後で紹介して頂戴ね」
「了解です」
危機一髪。
しかし一難去ってまた一難。
家に入れると勢いで言った手前入れないのはおかしい状況になっちまった。
「ミスったけど、仕方ないか・・・」
明日にでも出て行って貰えばいいだろう。
幸い小柄そうだし、部屋に入れることくらいはできる。
「よいしょ、っと」
「ん・・・」
起きるな起きるな起きるな起(ry
「・・・スゥ・・・」
怖ェェェェ
悲鳴上げられたら確実にヤバかった。
「おいしょ、っと」
取り敢えずベッドの上に寝かせたが、それでも起きる様子はない。
よく見たらメッチャ可愛いな。
イタい子だからなんとも思わねえけど。
「ハァ・・・起きる前に風呂でも入ってくるか」
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