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未来シコウのチートデータガール 48
このまま逃げられたら取り返しがつかない事になる!
……などと、静夜は焦らない。
静夜のその不敵な様子に、何かを感じ取った秦飼が訝しむのが見て取れた。が、もう秦飼は行動に移っていて、今更キャンセルは利かないようだった。その表情も崩れて、鼻と目の高さにすら区別がなくなって、滴り始める。
瞬く間に秦外の体が完全な液体へと変わり、洋服すらも原形をとどめない。液体になった秦飼だが、それがすなわち死ではない事は明白。むしろ秦飼にとってはこれぞ最強の一手であるのだろう。
液体になった秦飼だったものは水のように床にしみこみ始めるのだが……。
だから何だと静夜は冷静だ。
逃がす訳ねぇだろ? ばぁか。
「俺ァ、まだ憶えているぜ? なぁ――」
それは静夜だけが使える呪文ともいえる呪いの言葉。
全て唱え、声が秦飼の耳朶に届いた次の瞬間、床にしみこみ始めていた液体が消えた。
そして静夜の姿も、閉じる空間に丸呑みされるようにして掻き消えた。




