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五分前仮説のブランニューワールド  作者: 幾楽あくた


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死ぬよりマシなゾンビズム プロローグ

 お知らせ


 コラム:現地で育てる事。を更新しました。

 街管理の業務委託につきまして。

 倫理改変を実施しました。

 常識改変を実施しました。

 物理法則の一部を修正しました。

 コラム:魔法と魔術の違い。魔法と特殊能力とスキルの関係性。を更新しました。

 歴史改変を実施しました。

 常識改変を実施しました。

 採用情報を更新しました。

 転生者の伝承継承の基準の規約改定を実施しました。

【重要】一部団体の世界干渉力調整につきまして。



 魔法が使えたらいいな。と思ったから魔法を作ってみた。


 過去に戻ってやり直したいと思った時に、過去を理想のそれに変えてしまった。変える事が出来てしまった。


 モンスターが居たらいいな。ドラゴンが居たらいいな。エルフが居たらいいな。悪魔が居たらいいな。天国があればいいな。地獄だってあったらいいな。神も仏もあるもんだ。


 世界は思うままに。理想的に。歪に。


「どんな暴力であってもさ。愛があったり笑いがあったりしたら致命傷にならず、なおかつすぐに戻る様になるべきだと思わない? 一見致命傷の様な大怪我であっても、しばらく時間が経てば元気になる。ギャグ漫画とかでよく見かけるアレだね。これをジョークフルスイング現象とでも名付けてさ、どうかな?」


 ちょっとした悪フザケをして、しこたま折檻された経験がある男はニコニコと笑顔で語りかける。少年の心を忘れないと言う事を信念に、少年そのままの姿を保ったままの無邪気な笑顔。本当に、掛け値なしの純粋な無邪気であった。


 笑顔を向けられた会議室の八人の反応は、面白がるようなものからスマホをいじったまま顔を上げない程に無関心なものまで各人各様であったが、それでも否定する声は上がらなかった。


「パンチして空高く飛んで、お空の星になっちゃう現象の導入まだー?」


 ピンクブロンドの髪の少女が机に突っ伏しながら催促してくる。


「飛ばす技術はあるんだけどさ。あれやった後の復帰方法がなかなか難しいんだよね。理由なく瞬間移動して戻ってくるってさすがになぁ」


 科学法則も物理法則も、何もかも捻じ曲げ、人間が魔法で空を飛べる世界を作り上げた少年は、何らかのこだわりのもとにその意見を保留扱いする。


「飛んだ先でブラックホールに引き込まれて、そしてワープ」


 唇をつん、と尖らせてピンク髪少女。


「それは……一考する価値があるな」

「でしょー?」

「え、マジ?」


 思わず。といった感じで二人のやり取りを眺めていた青年が口を挟む。草臥れたサラリーマンの様な風体だが、草臥れた理由はおそらく彼と彼女に振り回されているからだろう。


 魔法も物理法則改変に関してもすさまじいまでの腕前を持つ青年だが、今ここにいる九人の中では常識人であった。ブラックホールはワープホールじゃないし、人間を入れて無事に済ませる方法を考えるとなると、頭を抱えそうになる。


「その話はまた今度にして、今はワの字の提案の実現性を話そうじゃないか」


 その様子を見かねたのか、ティーシャツ姿の長身美人が場をとりなすように言う。発案者はその日によって違うが、話の進行をするのはリーダーの少年ではなく、この長身美人か、今は実に美味しそうにコーヒーを飲んでいる壮年の紳士、どちらかである。


「物質概念の固定を応用するのがいいんじゃないかい?」


 コーヒーの香りを楽しみつつ、片方の目だけを気持ち大きく開いて少年に提案する壮年紳士。


「ダメージ無効じゃダメかな?」


 少年が聞く。それが一番手っ取り早いからだ。いつだって、最短ルートの一番簡単で、確実なものを少年は選びたがる。


「ギャグ漫画でもコメディ映画でも、実際ダメージが入ってから復帰しているであろう? という事は殴られて平気な顔をしていたら駄目なのだね。きちんと痛い。でもその痛みも傷も即座に治る。何なら魂が一回外に飛び出てから戻っても構わない。それを考えると、概念固定による世界の修復力を利用するのが一番いい。ついでに言うのなら概念固定の原理に辿り着いたら人類はそれを応用したがると思わんかね?」

「さっすが腹黒紳士。僕の言いたい事解ってるね」

「誰が腹黒か!?」


 心外だと言わんばかりに驚きの声を上げるが、博士でもないのに博士と言われるのにはまんざらではない壮年紳士。


「あ、そうだ。カレラ思いついちゃった。どうせ愛で殴って壊れて平気なら――」


 妙案を思いついたという顔で、黒ジャージのピンク髪少女が手をパンっと叩いた。


 彼女以外のメンバーは渋面になる。


「パンチ一発で地球が真っ二つになるのもいいと思ったりするんだ」

『却下』


 それはさすがに満場一致の異口同音。


『えー』という声を上げられるがそこに、コホン。と少年が咳払いをする。


「僕らはエンターテイメントとその先の人類進化を求めているんだ。地球に進化して欲しい訳じゃない」


 少女がゴネ始める前に、話題を切り替えたいと思った所で、再びティーシャツ美人が切り出す。


「そういえば進化と言えば、この間の物理法則の変更で少しだけ人類は進化したぞ。改変を取り除いても間違いなく音速で行動できるだけの種が生まれている計算になる」

「おお、転生者導入以来の大進歩ではないか」


 腹黒博士が歓声に近く声を上げる。


「進歩っていうけどさぁ、転生者って必要? 転移者もだけどさ。彼ら増長しすぎてて黒歴史を眺めているみたいでいやなんだけど?」

「ワッ君は自分の推しキャラがいまいちパッとしないから拗ねているだけだと思うなー」

「ワの字の推しは全員癖が強いからな」

「だが、輝くのもいるであろう」

「ああ、一人だけな」

「あの子ええよね」

「あー。見てて面白いよな。あいつ」

「そうさ、その気になれば諸君の推しなんて彼一人でこうさ、こう」


 金髪の少年は相変わらず無邪気な笑顔で目の前に置かれたペットボトルを指ではじく。指に弾かれたペットボトルの飲み口は指の通過地点が見事に消し飛び、遅れてやってくる衝撃波に空中を錐揉みして舞った。しかし中身の無糖紅茶が溢れる事なく留まったままで、空中で何十回転かしてから再び元の位置に元の格好で着地する。


「綺麗に着地するって事だねー」

「そうだね。話がそれたね。僕は愛のあるボケと突っ込みにエンターテイメントを加える事で人間は限界を超えた力を出しても平気だと知ると思う。その限界を超えた先を使い続ける事が出来れば、きっとそれが常態になると思っているんだよね」


 改めて言語化すると、半分はこういう説明になる。もっとも、残り半分はそっちの方が世界は面白くなるかも知れないという理由なのだが。


 しかしここに集まるメンバーはこの発言を求めているし、だからこそ真面目に頷くのだ。


「ジョークフルスイングで名前は異論ないぞ。あとは、誰が担当するかっていうことだな」

「そうだね遊び心系だが、本質は物理法則と生化学系の改変だろうしね。私の担当ではないがな」

「俺の仕事ふやさんでくださいよ。まだヨガの能力定着していないんすよ」

「それじゃあ、僕が担当しようかしら」


 それまでニコニコ黙って話を聞いていた一人が手を挙げる。草臥れたサラリーマン男と年の頃は同じほど、しかし苦労など知らないという肌艶の好青年である。


「お。それじゃあブックマンにまかせちゃおかな」

「悪ふざけで暴力を振るういじめっ子や、毒を面白半分で混入する愉快犯の救済にならないようにしろよ? 被害者には同情するがな、本気じゃない悪意にも、しでかしたのなら等分の罪悪感を与えるべきだからな」


 ティーシャツ美女が念を押すように言った。


 解り切った事だが、煮詰めるほどに、そこの線引きは難しそうだった。ブックマンと呼ばれた好青年は考える仕草を見せる。どうしたものかと。


「たしかに、でもそれってジョークじゃないし、愛がないと思わない?」


 アルカイックスマイルを見事に作って発案の少年は指を立てた。ジョークと愛が線引きだと。


「……あ、じゃあミーさん手伝ってよ」

「やっぱ私だよね。ええよー」


 一心不乱に一人スマホをいじり続けていたくせに、話をしっかり聞いていたボブカットの女が、顔を上げずに軽く返事をした。


 話は進みだす。


 ああではない。こうではない。そうしよう。ああしよう。それは却下でこれは許可。


 小さな会議室で大真面目に、それなりの年を重ねた者達が顔を突き合わせて大真面目に喧々諤々と議論するのは中学生のノートに描かれる物語の世界の設定資料の様でいて……。


「――と言う訳で、久しぶりに今日は決定事項を作れたね。よろしく皆」


 その笑顔は絵空事を語る様子はなく、応じる者達に茶化す様子も戸惑いもない。


 こうして世界は再び一新する。


 髪の色に皮膚の色、瞳も、寿命のあり方すらも千差万別。


 見た目に比例せず、力は鍛えれば鍛えるほど際限なく強くなり、特殊能力もあれば魔法も存在している。それは物理法則も化学反応も魔改造された世界。


 人間もいれば獣の耳を持つ半人半獣、不老不死の怪物だっていれば、もちろん幽霊も悪魔も神も居る。


 生物の系統樹は多様を極めた結果混迷し、一例を挙げれば鳥だけではなく、巨大な半実体の鯨と魚が空を泳ぐといった具合。


 それ等に留まらず、その世界は人間の空想の形を押し込めた玩具箱の様に混沌としていた。


 気に入らなければ作り直す。真新しい世界を作り直す。だからこそこの世界はやりたい放題の玩具箱なのである。 


 お知らせ

【New】物理法則の一部を修正しました。

【New】生科学法則の一部を修正しました。

 コラム:現地で育てる事を更新しました。

 街管理の業務委託につきまして。

 倫理改変を実施しました。

 常識改変を実施しました。

 物理法則の一部を修正しました。

 コラム:魔法と魔術の違い。魔法と特殊能力とスキルの関係性。を更新しました。

 歴史改変を実施しました。

 常識改変を実施しました。

【重要】一部団体の世界干渉力調整につきまして。





世界中の人間から嫌われることが出来ないと同じように、きっと誰かは面白いと思ってくれると思いたい。

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