エピローグ 異形に嫁ぐ
鏡の魔女が利用したように、真名は強力なまじないに使うことができる。
レインは美月の名前を初めて知った日から、こっそりまじないをかけていた。
美月がレインから離れられないように。
離れる日が来た時は、その命が終えてしまうように。
世界のコトワリからはじき出された不老不死の元人間である鏡の魔女には、美月の魂に黒い影が、がっちりと食い込んでいる様が見えていた。
シャレにならない執着だが、神に人間の常識は通用しない。
レインは美月のことを、とても気に入っている。
自分から美月を壊すつもりはないみたいなので、美月の愛情が続きさえすれば、いつまでも、お伽話のように、幸せに暮らしていくことができるだろう。
時限爆弾のようなそれを、爆発させるかどうかは美月にかかっているが、知らない方が幸せなこともあるのだ。
神の分霊が子を残すことができるのは、この自分が証明している。
初代教皇も、かつては神の分霊であった。
だから、鏡の魔女の計画に呼び水として、同じ分霊であるレインの存在は必須であった。
レインがいて初めて彼の魂を欠けることなく取り出すことができたのだ。
数百年の時を経て、まるで運命に導かれたかのように、パズルのピースは全て整った。
代替の贄となるアリスの存在。
当初は召喚する予定になかった美月の存在。
まさか美月がレインに見初められるとは思わなかったが、 その縁の糸を辿って、神の分霊を引っ張り出すことができた。
あの呪いが完成すれば、美月はいずれ神の花嫁としてレインと同じ時を過ごすことになるであろう。
異形に嫁ぐということはそういうことだ。
数百年後も、あの同じ古びた家で。
同じ姿をした2人は、飽きることもなく笑いの絶えない日々を過ごしていく。
駆け足の最後になりましたが 、エピローグまでご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
ヤンデレぽさが上手く書けず、一番手の早いヒーローになりました。
いつか番外編も書きたいと考えています。
よろしければ★を頂けると嬉しいです。
本作は短編「視線の行方」「視線の絡み合う先」「聖女の瞳は輝く」と登場人物が繋がっているので気が向いたらぜひご覧ください。




