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雨の日には君を想う  作者: 柚月
本編
14/24

新雪を踏み荒らす

ーー美月は、この世界に残ることを、もうずっと前から、密やかに願っていた。


 家具や雑貨を揃えて、数カ月が経ち、本格的に長く同棲することを決めてから、美月はレインと男女の仲になることを、自分の中ですんなりと自然に受け入れていた。

 じゃれついてくるレインのまっすぐな愛情は感じていたし、一緒に寝ていると、たまにしれっと固いナニかがお尻に当たっていたし。


 好きだとか可愛いとか、毎日のように言われているせいで、未だにどれが告白だったのかは分からない。

 その中のどれかが、レインにとってはプロポーズだったらしく、いつの間にか美月のことを、冒険者ギルドなどで対外的には、俺の嫁と呼ぶようになっていた。

 嫁発言は流石に恥ずかしくて、つい照れ隠しにそっぽを向いていたが、美月がそれを否定したことは1度もなかった。


 レインなら嫌じゃなかったから、だんだん深くなる口づけに、流されるまま、もつれ合うようにベッドに沈み込んでも、拒絶することなくレインの熱を受け入れた。

 翌朝、レインに顔が見られないように毛布に潜り込むと、腰が痛くて動けない美月に動揺し、彼は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。

 涙が滲むほどの幸福感で、胸がいっぱいになった。


 毎回受け身で申し訳ない気持ちもあるが、正直それで精一杯なので、いつかの成長に期待してもらいたい。

 レインもそれは十分承知なようで、むしろ新雪を踏み荒らすような状況を楽しんでいた。


 ほぼ、結婚したと言っていい生活をしていたのだ。

 レインは美月の薄い腹をなでながら、早く子供ができないかな、と笑っていたのだ。


 ーー今更、元の世界になど帰りたくない。



 レインが、襲撃してきた兵士と単独で戦っていた間のことだった。

 オーレイアは美月を見つめ、憐れむように深々とため息をついた。


「貴女はもう、あの方から逃げられないと思う。

名前をつけたというのは、そういうこと。

双子なんて比較にするのがおこがましい位、強い魂の縁が結ばれてしまったの。

例え貴女が生まれ変わっても、必ずまたあの方に見つかってしまう、そういう、呪いみたいな結びつき。

……薄々、気づいていたと思うけど、」


「貴女は、人のコトワリから外れた存在の花嫁になりました。」



 美月は、この世界に残ることを決めた。

よろしければ★を頂けると嬉しいです。


本作は短編「視線の行方」「視線の絡み合う先」「聖女の瞳は輝く」と登場人物が繋がっているので気が向いたらぜひご覧ください。

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