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魔法の堕天使、降臨す  作者: 鹿磨
第1章 新世界と闇の産声
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第56話 夜の底で その2


 ──「エルフ」という種族の説明は必需だろうか。


 その有名さ故、小麦や布団などの生活必需品を改めて言及するような蛇足感を覚えるが、せっかくの機会だ、書き記そう。

 数が少なくなってきているという話もあった。

 もしかすると今後、若しくは今現在ではエルフを知らぬ世代が生まれてくるかもしれない。


 また、認識の擦り合せという意味でも無益に終わることはないだろう。

 とは言っても、百年前で止まった我が智によるものだがな。

 それでも然程大きな乖離はないはずだ。

 彼らは"不変"の生き物なのだから。


 エルフの特徴を語るには、先に他の種族について簡単に触れようと思う。

 特異を知るためには、普遍を知る必要があるからな。


 今から約一万年前、女神デア様が天地を開き、彼女のみぞ知る目的により、何も無かった大地に生命の雫が垂らされた。


 最初に生を受けたのは、ご存知の通り我々「天使」だ。

 自他共に「女神の子」と語られる我々は母である女神デア様と外見も中身もそっくりに作られている。

 生誕から全てが完成されており、成長も老衰も無く、欲を知らない、まさに究極の命と言っても過言ではないだろう。

 それらに加え、他の種族と比べて若干感情が希薄なのは、女神デア様曰く我々が器のようなものだからだそうだ。


 あくまで推測だが、天使を作り出した瞬間から世界の管理を任せることを考え付いていたのだと思う。

 女神デア様に与えられた仕事──世界管理を一万年間継続しても尚、一度も飽きや怠慢が来なかったのが証左となるだろう。


 天上に立つことを宿命付けられた我々の次に大陸に住まう命──地の民「ヒューマン」、「魔物」、「エルフ」が作られた。

 第二回目生命創造に該当する彼らには多様性を持たせる為に、各々には与えられた女神デア様の要素は一つだけ。

 結果生じた余白には十人十色の個性が描かれるというわけだ。


 それぞれの種族に与えられた要素は──ヒューマンは心、魔物はマナ、エルフは外見である。


 念の為補足しておくが、マナを与えられていないヒューマンはマナを一切所有していないというわけではない。

 確かに草創期では極端な振り分けが行われていたが、あまりに世界のバランスが取れずに種の絶滅危機が度々訪れてしまった。

 特に特徴の違いによる争いは来る日も来る日も各地で起こり、大地は常に戦火が広がっていたことを覚えている。

 その結果、度重なる調整が行われ、現在では(と言っても百年前以前までしか知らないが)量や質が優遇されているという程度に落ち着いている。


 心を与えられたヒューマンは地の民随一の豊かな思考力、共感力、危機感知力を活かし、牙や爪が無い代わりに手と手を取り合い文明を形成して、常に盤石な生活圏を保持している。

 歴史を遡ってみても、彼らが絶滅の危機に瀕したのは世界のバランスが今より調整されていなかった草創期、女神デア様が創造主だけでなく管理者になることを決心された日のみだ。


 余談だが、魔法の管理者であった私が彼らに期待していたのは、豊かな心が与えられているという理由も含まれていた。


 次に、歴史において悪役になりがちな魔物に関しては、千差万別な方向性を持った進化を遂げているのが特徴だと言える。

 それは彼らの身体構造に女神デア様からの賜物「マナの核」が組み込まれていることが所以となる。

 無限の可能性を秘めたるマナが常時稼働することで、小型でも強靭な腕力や脚力を獲得し得る上に、他の種と比べて生理的欲求も強く、特に旺盛な繁殖欲は稀に「突然変異」を引き起こし異分子(イレギュラー)を生み出すこともある。

 その反面、寿命はかなり短い。

 生命を維持するのに必要なマナ量に対して、捕食で得られるマナ量は僅少であり、その為に餓死や共食いによる個体数の減少が常であるのだ。


 さて、いよいよ本題のエルフだ。

 先程も書き記したように、その種には女神デア様の外見──金髪、白肌、端正な顔立ちが与えられている。

 これだけでは能力的に見劣りするように思えるが、それが半永久的に保証されていると聞けば多くの者が羨むだろう。

 経験則だが、世間一般に知れ渡っているのは外見ではなく、その副産物的な「不老」の方であるように思える(若者の男性は外見ばかりに目を向けているようだが)。


 故にエルフ族はその外見、もとい肉体維持の為に外的要素を頼る必要が一切無い。

 つまり、食事や睡眠を取らずとも生きて行けるのだ。

 身体の湿潤を保つ為に水分だけは摂取する必要があるらしいが、仮に疎かにしても仮死状態になるだけで、水を与えれば再生する、と自然の始天使アモルから聞いたことがある。

 ちなみに、アモルは続けて「植物みたいよね」と笑っていた。


 またエルフの特筆すべき特徴は他にもある。

 「不老」、もとい「外見」は女神デア様が与えたものだが、彼らの殆どが自らの努力によって獲得しているものがあった。

 それは「知識」だ。

 不老が故に知識を得る。

 ここまで言えば、多くを語らずとも理解出来るだろう。


 世界は情報によって形成されていると言っても過言ではない。

 しかも、世界は常に進化しているのだ。

 ただ生きているだけでも千年程経てば必然的に知識人に成っていそうだが、エルフ族は勤勉な者が多い為に知識人には留まらず、賢者と評するに相応しい深い知見を持ち合わせていることが殆どだ。

 特に植物について語らせたら右に出る者はいないだろう。

 第二次世界樹消失後、長きに渡って務めてきた役目から解放されたエルフ族が外界に進出すると、世界の薬草学、林学及び建築学が歴史上類を見ない速度で発展したという。


 さて、エルフの説明はこんなところで良いだろう。

 地の民については他にも「ドワーフ」や「リザードマン」等の亜人や家畜を含めた「動物」、もとい下界の生命維持・循環生命も存在しているが、今回説明する必要はあるまい。



 これにて、魔法の始天使マギウェル・デア・フィーネが主人公の物語は幕を閉じることとなる。


 ここから記されるは至高のエルフ族にして戦闘の賢者──セファローズの活躍である。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 

 ──ロエルの館一階、長い長い白の廊下。 


 追いかけっこの最中、三姉妹らしきサソリの獣人を倒したセファローズは全身に付与していた「五感強化」・「身体強化」を緩め、常時発動状態──「身体強化」によるマナ消費と自身のマナ回復力が丁度相殺し合う状態に戻す。


 力強くハイテンポな拍子を刻んでいた心臓が次第に落ち着き始めて、迸るような熱を帯びていた血流も平静を取り戻した。

 同時に舞い上がる埃すらも逃さない程、限界まで絞られていた視界は人差し指に当てていた焦点を外した時のように周囲の景色が広がるような感覚になる。


 マナを消費している時特有のジリジリと追い詰められるような状態から解放されたところで、自身の身体に意識を向ける。

 まだ余裕だった。

 消費マナ残量の確認──理論派のセファローズは数え切れない程の戦闘経験から体内時計にも似た計測器を脳内に構築しており、それは約九十パーセントを示している。

 大まかには理解しているものの、念の為確認してみたが、今回の戦いでは大きくマナを消費せずに済んだ。


 やはり館のメイドならば数が多くても相手にはならない。

 自身の見立てが間違っていなかったことに少しばかりの安堵を抱いてから、フィーネに声を掛けて再び走り出す。


 何とかなるかもしれない、なんて油断したのも束の間、地下室の扉があった方の廊下から「ひゅー、流石だねー! セファちゃん!」と声が聞こえてきた。

 背後を振り返って見れば、長い廊下の先でこちらに手を振る生の幹部ロエルの姿。

 自身が作り出したこの状況が楽しくて仕方がないといった風の無邪気で厭らしい笑顔にセファローズを舌打ちする。


 それと同時に、背後を振り返った際についでに視界に入ってきた、早くも息を切らし始めているフィーネの姿に眉を顰める。

 走り始めてまだ十秒も経っていない。

 そこらの子供の方が走れるのではないだろうか。


「フィーネ、まさかもう疲れたの!?」


「はあ……はあ……そ、そんなわけ! あるものか!」


 威勢良く言い放つフィーネだったが、その直後顔を歪めた。

 喉元に込み上げてきたらしい何かを固く閉じた口元で栓をするのをセファローズは見逃さなかった。

 吐きそうになったのだろう。

 遅れてキメ顔を作ってももう遅い。

 

 彼女の身体構造はどうなっているのか、と考えながらセファローズは仕方なく走るペースを落とした。


 自身の判断とは言え、生の幹部の館をフィーネを庇いながら脱出するのはやはり無理があったかもしれない。


 そもそも守衛室でロエルに見つかってしまった時点で、この館からの脱出は不可能に等しいものとなっているのだ。

 目標を改める必要がある。

 言い換えれば取捨選択をしなければならない。


 それでも……フィーネを見捨てるという決断は出来なかった。

 フィーネは友人だから。


 ……いや、きっと、それだけではない。

 "何か"あるのだ。

 世界樹を消失させ何千年も森に縛り付けられていたエルフ族を解放させた世界最高峰の力を失い、かつての輝きを失っても尚、フィーネを見ていると理屈を、いや、全てを蔑ろにしてでも賭ける価値があるような気にさせてくる。


 ──フィーネは何か隠している。


 そう、それだ。

 軽い疾走の最中、整頓されていく情報の中で浮かび上がってきた推測にセファローズは僅かに顎を引く。

 思えば、初めて出会った時もそんな雰囲気があったのだ。

 魔法を使うフィーネは活き活きとしていたが、どこか振り切れていなかったというか、表情にほんの僅かな影を落としていたような気がする。

 

 とは言え、あの時は世界樹が暴走するという到底楽しげにはなれない大事件だったし、そもそも普段のフィーネをよく知っているわけではない為、あくまで気がするだけだ。

 あれが彼女なりの感情表現、喜怒哀楽の喜楽の表情だと言うのならばそれまでの話である。


 そんな結論に至ったところでセファローズは思考を切り替えた。

 フィーネっぽく言うのならば、記憶の本棚に先程まで読んでいた「過去の本」を戻して代わりに「戦闘の本」を取り出す。

 本を開き、探すべき章は「不意打ちへの対処」だろう。


 今しがた通り過ぎた右壁の窓が突如として開け放たれた。

 冷たい夜風の共に飛び込んで来たのは──二つの細長い三角形を頭頂に生やした犬の、いや、狼の獣人だ。

 獣人と言っても、ヒューマンというよりは狼の方に限りなく近い。

 顔の作りはヒューマンのもので間違いないが、メイド服の裾から伸びる手足には灰色をした体毛に覆われていた。


 狂喜を浮かべて、体毛を逆立て、敵は吠える。


「隙アリだぜェ!!」


 白い刀身をした大剣が脱走者セファローズに迫る。

 完璧な奇襲だ。

 歴戦の戦士でも反応出来ただけで上々、ましてやマナによる「身体強化」など間に合うはずがない。


 と、狼の獣人メイド──マコは考えていた。

 ご主人様はどんなご褒美を与えてくれるだろうか。

 戦闘は終わっていないにも関わらず、既に彼女は頬を緩め、後の事に思いを馳せ始めている。


 目の前にいるのが、歴戦の戦士を遥かに超越した存在であることも知らずに。


 視線と平行になるような位置から横薙ぎに振り切られようとする斬撃を──セファローズは頭突きで返した。

 闇に葬られた歴史の大英雄「最強の勇者」が聖剣の他に愛用していたという白銀剣に用いられた素材、白銀、またの名を「ミスリル」。

 それと同じものを加工して作られた特製の大剣は──エルフの艷やかな額に弾かれる。


「うそだろッ!?」


 マコは有り得ない状況に目を見開いた。

 それもそうだろう。

 武器を素肌で弾くというセファローズの所業は世界中に存在しているありとあらゆる防具を否定しているのだ。


 同時に凄まじい反動と衝撃が刀身から柄まで伝わってきて、マコは思わずミスリル大剣を手放してしまう。

 ご主人様に与えられた何より大切な物だったはずなのに、だ。

 それほどの驚愕がそこにはあった。


白銀(ミスリル)ならアタシを切れると思った?」


「は? は?」


「ヌルいわね! ワンちゃん!」


 今度はセファローズが狂喜を浮かべて、狼の体毛に覆われた首元を片手で捕まえた後に、もう片方の手を添えて握り締める。

 やがて、マコの厚底の黒い靴がゆっくりと地面を離れた。

 自身より一回り程度大きな相手を腕力で持ち上げたセファローズは、嬲るように余裕を持って「身体強化」を再発動させ、力を込め始めた。


「武器ってのはね、こうやって握るのよ」


「……ッ……う……!」


 首を圧迫されたマコの顔が膨張したようになる。

 浮き上がった首筋と血管は白銀よりも硬質な手によって容易に握り潰され、頚椎はミシミシと音を立て始めていた。 

 空気の通り道を塞がれたマコは藻掻き始め、セファローズの両手を退かそうとするが、石のように動かない。

 強風に吹き飛ばされてしまいそうな程に華奢な身体に渾身の蹴りを数回浴びせてみても、動じぬ笑顔があるだけだった。


 勇猛果敢を自負していたマコは底知れぬ恐怖を覚える。

 命乞いをしようとするが、とっくに喉は潰されており、唸り声すら出なかった。

 次第に意識が遠のいていく。

 邪悪さの混じった「伏せ、しなさい」という声を最後に聞いて、マコの命は尽き果てた。


 ドサリ、と狼の獣人メイドが床に落ちる。

 その喉元は見事にセファローズの手形に変形していた。


「見事だな。ミスリルでも傷一つ付かないか」


 傍観者と化して呼吸を整えていたフィーネが声を掛けてくる。

 その声色に緊張感は無い。

 白目を剥いたままの無残な死に方をした敵には見向きもしないあたり、彼女もまたただの人ではないな、とセファローズは思う。


「『マナにはマナを』、でしょ?」


 とある本に書かれていた言葉を引用する。

 身体に巡らせたマナを「防護」に変換した際に発生する障壁の防御力には限度が無いと書き記されていた。

 至高を極めた防護であれば、どんなに硬度が高くて希少な金属であっても破れないらしい。


 無論、それはマナの操作技術を至高の領域にまで到達させた者にのみ適応される話であり、例え膨大なマナを所有していたとて、それを実用的な力に変換する能力が不足していれば石の斧でも死ねるのだろう。


 それらの話を踏まえて、白銀による斬撃を額で受け、軽い炎症程度で済ませたセファローズはやはり、マナ操作に関しては「至高」に至ったと言える程の実力の持ち主だった。

 通常、マナによる防護と言えば身体の外側を覆うような障壁を作り出す技術のことを指すのだが、セファローズの場合は身体中の血管と表皮にマナを行き渡らせることで、靭やかであり強固でもある完璧な護りを実現していた。


 その手法は防御力に関して言えば、障壁を外に作り出すよりも遥かにマナを凝縮しやすく、更には斬撃や打撃に留まらず、毒等にも耐性を持った柔軟性を齎すことが可能だ。

 

 また、身体を激しく動かすと障壁が崩れがちという機動力の欠点も、セファローズの手法は克服していた。

 例を上げると、鉄の鎧を装備したヒューマンと、鉄のように硬い鱗を纏った魔物では、圧倒的な実力差が無い限りは後者の方が素早く動けるだろう。

 それと同様のことをセファローズは成し遂げている。


 ほんの一瞬でもマナ変換・操作を間違えれば自らの肉体が崩壊する危険性があり、実際に何度も死にかけているのだが、それは百年前くらいの話である。

 世界半壊後を生き抜く為に鍛錬を重ねた今のセファローズがマナ変換・操作において失敗することは有り得ない。


 従って、然程変わらぬ所有マナ量であるセファローズとメイド達の間にある断崖絶壁とも言える各差はそんな技術力にあった。


 セファローズを打ち倒すのに必要なのは良質な武器ではなく、マナを「攻撃」に変換させたものというわけだ。

 いつかの時代では「魔法銀」とも呼ばれた白銀にマコがほんの少しでもマナを纏わせていれば、額に傷くらいは付けられただろうが……当の本人は聞く耳を持っていない。


 彼女もまた、魔道具の流行する昨今の被害者だろう。

 魔法だけでなく、マナに関する知識や技術もまた、年々失われている傾向にあるのだ。


「耳に懐かしい言葉だな。確かにマナは大事だ──『其の源を我に──【吸収(マナ・リザーブ)】』」


 何かを思い出したような表情を浮かべたフィーネは地面に伏して動かなくなった屍の傍らに立ち、魔法を唱えた。

 すると、萎びたはずの灰色の体毛が再び逆立つようになって、そこからキノコが胞子を撒き散らすかの如く、虹色の粒子が放出され始める。


 それは強力な魔物等が死した際によく見られる現象──「マナの放散」であることにセファローズは気が付いた。


 目の前で起こる出来事を理解しようとする最中、マナはやがて流るる川のようになってフィーネに注がれた。

 自然現象を故意に起こし、操作するという人知を超えた所業に、マナに関する一般的な知識と技術を修めたセファローズはやはり傍観する他無い。


『所有マナの上昇を確認──【火爪(レッド・ネイル)】【水撃(ウォータ・ショット)】が接続可能になりました』


 ポン、と唐突に現れたフィーネの魔導書が喋る。

 そして、また何処かへ消え去った。


「なにそれ」


「……? 【吸収】という魔法だ」


「そ、それが魔法なのは分かってるわ! 今何が起こったのか教えなさいよ。専門用語を使わないで、アタシにも分かるように、お願い」


 何とか自身を落ち着かせて、念を押し問いただす。

 ここで魔法の始天使特有の心がどうとか、気持ちがどうとか言われたら脳みそが破裂してしまいそうだった。


 セファローズは今、自身が培ってきた知識を根本から覆されそうになるのを必死に抑えている状態にある。

 まさか、そんなわけはない、と。

 常識的に考えてそんな魔法があっていいはずがない、と。


 必死になって言ったセファローズの言葉に、フィーネは一瞬困惑の表情を浮かべてから「ううむ」と唸り、顎に手を当てて暫く逡巡する素振りを見せる。

 セファローズはその時間が途方もなく長く感じた。


「もったいぶらないで早く言って」


「わ、分かった。ええと……この魔法を使うと他者のマナを私のものに出来るのだ。今、此奴のマナを吸収したので再び使える魔法が増えた、ということになる……これで分かったか?」


 肩を竦めて言うフィーネにセファローズは堪えきれず、その光を受けて煌めく銀髪の頭頂を優しく小突いた。


「あ痛っ!!」


 そこまで痛くないだろうに、涙目になって小突かれた場所を擦るフィーネ。

 魔法は結構だが、マナの防護はどうした、と言いかけるも──


「あれれ? 仲間割れかな?」


 ──薄ら笑いが聞こえてきたので、セファローズは仕方がなく口を噤むこととなった。 


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