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洞窟らしい部屋

続きです!若干、性的描写あります。

 ファウンドと共に周囲を探索し、いくつかわかったことがある。


 一つは、ここが出るのは絶望的なほどの地下に存在しているということだ。

 ファウンドに付いているソナーを試しに使ってみると、ここはかなりの地下の洞窟のようだった。

 洞窟の壁は石で出来ており、ソナーで石の壁の先を調べた所、周囲には土しかなかった。

 洞窟は上に続く道もあるようだが、ここからさらに地下も存在するらしい。


 次に、ここに生息する獣だ。先ほど襲撃された時は周囲の暗さとお姫様抱っこの幸福感に満たされ、襲ってきたのは熊だと思っていたが、どうやら違うらしい。

 獣は熊の数倍大きく、僕なんて虫に見えるだろう。この洞窟で、その図体をよく動き回せるなと感心するほど、その獣は地球の生物とは考えにくい凶悪さを秘めていた。

 こんな恐ろしい獣がこれからも暗闇の中で襲ってくるならば、今の僕たちは、かなりまずい状況だ。


 ちなみに暗闇の件は、ファウンドに「洞窟を照らしてくれ」とお願いしたらあっさり解決した。そういや僕電気をつけてくれっていっただけだもんね。反省。


「ご主人様、ここにも未知のエネルギーを観測しました。回収してもよろしいですか?」

「オッケー。よろしく頼むよ」


 僕が了承すると、ファウンドは肘を前に出し、腕を交差させてぐるぐる回す。

 深すぎる洞窟や、そこに生息するやたら大きい獣にも驚いたが、探索する中で一番驚いたのは、ファウンドが未知のエネルギーを見つけ出したことだった。

 エネルギーと言ったって、よくある燃料くらいのものだと思っていたのだが、ファウンドが見つけたものは違うらしい。


 そのエネルギーは固形とか液体とかの形ではなく、目に見えないものだった。宙に浮いてるものもあれば、石に埋まっているものもあった、らしい。

 ただ、一箇所に集まる性質があるようで、ファウンドは何箇所かで塊のようなものを観測しては、腕をぐるぐる回して回収していた。


 僕にはエネルギーが実際に見えてるわけではないので、ファウンドが幼児向けのダンスを踊って遊んでいるようにしか見えない。表情が無表情じゃなければ遠足にきてはしゃいでる子どもだ。

 そんな妄想を見抜かれたのか、急にファウンドがぐるぐるを止めてこちらにやってくる。


「ご主人様。ある程度エネルギーが確保できたので、私の中に入れるようになりました。いかがされますか?」


 無機質な声でお腹をさすりながらファウンドが淡々と告げる。

 なんでもできる完璧な部屋の姿にうんうん頷いて感心していた僕の頭は、氷のように固まる。


(なんか今、とんでもないこと言わなかった?この子?)


 ……いや待て、落ち着け。彼女だって、なぜか人間の姿になってしまった。そういう動物的な行動に興味がないわけがない。

 かといって、これからの生活を円満にしていく上では順序というものがある。いくらファウンドが謎の活力を得たからと言って、急に行動するのはよくない。彼女は被害者なのだ。家主として僕が気を引き締めてあげないと。


「……せっかくだけどファウンド。僕はまだ、君のことをよく知らない。いや、隅から隅まで知ってるんだけど、そういうことではなく。やはり、人間というのはどうしても生物としての束縛が存在しているわけで、だからこそ僕たちは動物との違いを考えて……」


 言おうともしていなかったことを色々僕が言っているうちに、ファウンドは自身の着ているメイド服をはだけていく。蠱惑的なその動きを、僕はつい目で追ってしまい、色々言う口との意見が食い違ってしまう。


 ……いや待て、そもそもはアパートの部屋だ。関係を深める深めない以前に、僕たちには賃貸契約で結ばれた堅い絆がある。今更一線を越えるか越えないか議論することは、彼女への失礼に値するのではないか?


 以前の世界であれだけ魔改造されても何も言わず、静かに受け入れてくれた彼女のことを、今更信頼できなくてどうする。


 僕の脳内が腹を括りそうになっている間に、メイド服を脱いで、上半身に青い下着を付けたファウンドが、照明に照らされた艶のある綺麗なお腹を僕に差し出してくる。

 適度に引き締まったそのお腹。しかし、ウエストにくびれが存在しないその体は、しっかりと彼女の体の柱になっていた。

 小さな細い指で心窩部(しんかぶ)をさすり、曲線美を描くお腹の上から下へと、その細い指を下ろしていく。

 お腹の中間で存在を主張するおへそを通過し、メイド服のスカートに触れたその指を離した時、ファウンドのお腹が開いた。


「ぜひ見てほしいです、ご主人様。あなたの完璧な私(部屋)を」


 誇らしい表情で告げる半裸のファウンドに内心ドキドキしながら、開いた光り輝くお腹を見つめてみる。そこには、僕が今までずっと見たかった楽園が広がっていた。



 ――そこは、誰よりもこの部屋を思い、誰よりもこの部屋の可能性を信じたからこそ創られ、磨き上げられていった僕の理想。成し遂げ切った安堵からとても長い時間が経過し、今ようやく、僕の目の前に完璧な部屋が姿を見せてくれた。


 僕の部屋は機能性と安全性を考慮した結果、一見するとミニマリストと思われるほど何もない。和風モチーフなアパートの一室で、床には畳が敷かれており、ベットに座敷用テーブル、座布団が一つあるだけだ。


 ……だが、それはあくまで仮の姿なことは言うまでもない。


 (試しにファウンドに指示してみるか)


「ファウンド、電気を消して」

「かしこまりました。ご主人様」


 部屋の明かりが消える。この空間にいてもファウンドには指示が聞こえるらしい。

 なるほど。以前の電気をつける指示は、ファウンドのお腹の中にあったこの部屋の電気をつけたようだ。


 もう一度電気を付け直し、くまなく部屋を調べ、この部屋は、変な夢を見る前とは変わらない、完璧な状態であることがわかった。

 そういえば変な夢で誰かと会話していた時に、部屋について話をした気がするが、……やはりよく覚えていない。そんなに大事なことではなかったのだろう。


 そんなことより、窓に映る景色が僕の興味を惹く。


「おお! この景色って、今ファウンドが見てる景色か?」


 完璧な部屋の窓は、全身で日差しを取り込めるようになっている。そのため、窓は僕の身長くらいの高さがあり、寝そべっても、窓の横幅の方が僕の身長より長くなっている。

 僕はいつも、日の光で気持ちよく起きるために、窓の近くにベットを置いている。


 僕はベットに乗っかり、窓をマジマジと眺める。窓には、僕が先ほどいた、洞窟内の様子が見えていた。


「肯定します。ご主人様に安心して休息していただくには、必ず私が必要なはずです。周囲の観察は、窓から見える私の目をご利用ください」


 どうやらファウンドは、僕が渇望していた最高の部屋を見せてくれて、尚且つ僕に安心して休息をとって欲しいようだ。……なんて出来た子なんだ……!


 そういえば僕は、この洞窟に来てからかなりの時間を探索に費やし、疲労が体に溜まっていた。ここはファウンドのお言葉に甘えて休むべきだろう。


 無理にファウンドに同行しても、謎エネルギーが見えない僕にとってはあまり面白みがないし、なにより疲れている僕の姿を見たら、ファウンドが悲しむ。


「ありがとうファウンド。どうやら気を使わせてしまったようだね。ゆっくり休ませてもらうことにするよ。それと、これからは僕の許可なしで、洞窟の謎エネルギーを回収していいよ。むしろ、どんどんグルグルしちゃって」


 謎エネルギーが何かは知らないが、その力でファウンドが僕のためにお腹を開いてくれた。

 出どころは不明でも、信用するには十分だ。謎エネルギーの力で、この完璧な部屋は、さらに心地よく過ごせるようになるのだろうか? この力についても、そのうち調べていこう。


「ありがとうございます、ご主人様。定期的にこちらから連絡をいたしますので、ご主人様はごゆっくりお寛ぎぐださいませ」


 ファウンドの優しい声が部屋中に響く。こんな頼りになる完璧か部屋を持てて、僕はなんて幸運なんだ……


 僕は感動の涙を流しながら、ファウンドのお言葉に甘えて眠ることにした。いつもの寝床に入り込みながら、今後の方針について考える。


 今の所すべきことは洞窟の脱出、謎エネルギーの回収だ。


 完璧な部屋と一緒とはいえ、外から見える景色が真っ暗な岩肌というのは残念すぎる。……目が覚めたら朝日を浴びたい。それに、謎のエネルギーはファウンドの活動に必要みたいだから、これから積極的に集めていこう。


 ……それにしても、この一日でいろいろなことがあったなあ。


 宗教の夢を見たり、真っ暗な中熊より大きな化け物に襲われたり、僕の部屋が小柄な女の子になったり。女の子の中に入って、眠りについたり……これ言葉にして大丈夫かな?


(でも、世の中悪いことがあった後は、いいこともあるもんだね)


 お気楽なことを一日の締めにして、僕は久しぶりに思える寝床に全ての身を預けて、ゆっくりと目を閉じた。

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