自慢の部屋
「出来た……!! ついに……! 完成だ!!」
僕には一つだけ夢があった。それは何かを成す偉人とかでもなく、何かに関わる仕事をしたいとかでもない。
――自分だけの部屋を作り上げたかった――
一見誰でも出来るこの夢は、誰よりもこの部屋を思い、誰よりもこの部屋の可能性を信じたからこそ創られていった。
快適な一日をこの一部屋で成し遂げられることを完全に理解し、僕は安堵して長年の付き合いであるベットに横になる。
僕がこの部屋に越してきたのはおよそ五年前。この間、僕は部屋のことだけを考え続けた。
周りの住人からはたまに白い目を向けられることもあったが、この五年間、周りの罵詈雑言も気にせず、自分の人生の中で最も充実した生活を送った。
僕の部屋はアパートの404号室。五階建てアパートの真ん中ちょい上の位置だ。住人以外誰にも入り込めないし、入る理由がない場所に完璧な夢を創り上げた僕は満足し、最高の寝床で眠りについた。
――
夢を見ていた。目の前にいるのは、黒髪の長い髪をした金色に光る目の女の子。
独身の三十代半ばの男にとっては、面と向かい合ったことのない人種である。
普段の僕なら同じ空間にいることすら恐怖に駆られるところだが、不思議と彼女の前だと心地が良く、ずっと一緒にいたいとなぜか思えた。
「僕と一緒に暮らしてください」
何を言っているんだろうか僕は。完全に犯罪案件だ。
……でも言わないといけない気がした。一目見た瞬間に言わなきゃいけないと思ったのだ。
少女はニコリと笑い、クルッと後ろを向いて黒い長髪を靡かせる。そしてそのまま暗闇へと消えていった
――
「あなたは死にました。別の世界を救う転送者として活躍してください」
…………は?
12/23に修正しました。
12/28に修正しました。




