第6章 暁 ― 「世界をまだ諦めぬ者たちへ」 2.終わりなき円卓
朝焼けが、円卓の上をゆっくりと横切っていく。
黒封筒の灰が淡く光り、まるで夜の残響が名残を惜しむようだった。
五人は、再び円卓を囲んでいた。
真夜、赤城、アオイ、白石——そして、
どこからか微かに聞こえる“Xの声の残響”。
誰もが疲れきった顔をしている。
けれどその瞳の奥には、確かな“充足”があった。
赤城が大きく背伸びをし、
椅子の背もたれに腕をかけながら苦笑する。
「やれやれ……また明日から会議か。
現実ってやつは、議題が尽きねぇな。」
その軽口に、白石が穏やかな笑みを浮かべた。
杖の先で床を“コツン”と叩く音が、静寂に響く。
「良いではないか。語れるうちは——生きておる証よ。」
真夜は議事録を見つめたまま、
小さく息を吐き、ぽつりと呟く。
「……でも、悪くなかったよ。
定義しようとして、壊して、また拾う。
——それが、俺たちのやり方なんだな。」
アオイは黙ってノートPCを閉じる。
閉じる寸前、画面のタイトルバーには
新しいファイル名がちらりと光った。
【中二病円卓会議/第一稿】
その瞬間、誰かが小さく笑った気がした。
風のような声、記憶の奥から届く残響。
『——続けろ。物語は、終わらぬ。』
彼らは顔を見合わせ、
次の言葉もなく、ただ朝の光を見つめた。
円卓は静かに佇む。
それはもう、廃ビルの一室ではなく——
**“想像を語る者たちの永遠の会議場”**だった。




