第6章 暁 ― 「世界をまだ諦めぬ者たちへ」 1.夜明けの会議室
薄紅の光が、ゆっくりとカーテンの隙間を縫って差し込んでくる。
かつて“幻想の戦場”と化した会議室は、今はただ静かだった。
歪み、崩壊し、ねじ曲がっていた現実は嘘のように整い、
壁は元の白に、机は元の形に戻っている。
だが——空気だけが違っていた。
まるで夢の終わりに残る“余熱”のように、
現実の隙間に微かに漂う光の残滓。
円卓の中央に、黒く焦げた紙片がひとつ。
それは、あの“黒封筒”の残骸だった。
その隣に、一枚の紙が静かに置かれている。
誰が書いたのか、いや、誰が“残した”のかも分からない。
その紙面に刻まれた文字は、
インクではなく——光の粒だった。
『中二病とは、世界を諦めない想像力である。』
誰も言葉を発しない。
ただ、朝の光の中で、その一文だけが呼吸しているように揺らめいていた。
真夜がその紙を手に取る。
文字は触れた瞬間に淡く発光し、まるで“答え”を確認するかのように
彼の瞳を照らす。
「……これ、俺たちの——結論、なのか?」
彼の呟きに、誰もすぐには返事をしなかった。
けれどその沈黙こそが、確かな“肯定”だった。
窓の外、夜明けの空がゆっくりと色を変えていく。
群青から白金へ、そして新しい一日へ。
彼らの中で、何かが確かに終わり、
同時に——始まろうとしていた。




