第5章 真理 ― 「汝、なぜ夢を見るのか」 1.静寂の幕開け ― 「夜明け前の残響」 ——静寂。
——静寂。
崩壊したはずの円卓の会議室が、ゆっくりと“再構成”されていく。
割れていた壁は音もなく元に戻り、床に散らばった紙片が宙に舞い、元の位置に吸い込まれていった。
まるで、世界そのものが「巻き戻し」を始めたかのようだった。
けれど、そこに流れる空気はもう——現実ではなかった。
光も影も輪郭を失い、すべてが夢の中のように曖昧で、呼吸すら静かに滲む。
円卓を囲む四人。
真夜、赤城、アオイ、白石。
誰もが、燃え尽きたような表情で黙り込んでいた。
机の上に置かれた黒封筒だけが、淡く光を反射している。
誰も口を開けない。
それは敗北ではなく、到達の沈黙だった。
そのとき——
ジ……ジジ……。
スピーカーから、弱々しいノイズが走る。
続いて、低く、しかしどこか温かみを帯びた声が響いた。
「……よく、ここまで辿り着いたな。」
その声を聞いた瞬間、四人の背筋が微かに震える。
忘れかけていた恐怖と、再会のような感情が同時に胸を刺した。
アオイが、静かに呟く。
「……ミスターX。」
次の瞬間——
円卓の中央に置かれていた黒い仮面が、ひとりでに震えた。
パリン——。
乾いた音を立てて、仮面が割れた。
破片が宙に浮かび、光と影の粒子へと溶けていく。
その残響が、まるで夜明けを告げる鐘の音のように響いた。
誰も息をすることさえ忘れていた。
静寂の中で、世界がひとつ、**再定義(Re:define)**されようとしていた。




