紙飛行機はらせんを描き在るべき場所へ舞い降りる ~出会い~
この町を一望できる丘に立つ神秘的なポプラの木。
昔からその木には精霊が宿ると噂されていた。
これは不思議な木の下で運命的な出会いをした少年と少女の物語。
『ひっく…ひっく…』
かすかに少女の泣き声がする。
少年は慰めようとおもむろに近づいて話しかけた。
『どうしたの?何で泣いているの?』
『君 名前は?』
『…アーヤ』
『ボクはしゅんっていうんだ!』
『ねえ 見て!見て!ボクの紙飛行機
めっちゃ飛ぶんだぜっ!!』
『ひっく…ホントに?』
『もちろん!いっくぞ~ そ~れっ』
これが僕とアーヤの出会いだった。
町外れにある大きなポプラの木が立つ小高い丘、この場所は幼い頃から僕の秘密基地だ。
嬉しい時、悲しい時、よくこの丘に登って物思いにふけっていた。
今日もいつものようにポプラの木を見上げ、ふと幼い頃の情景が脳裏をよぎった。
あれからどれくらいの月日が過ぎたのだろう?
中学生になった今も何故か心に残るアーヤ
(あの少女は幻だったのかな?)
と自分に問いかけてみる。
ある日、いつものようにポプラの丘に向かうと、少し様子が違っていた。
風にそよぐポプラの木がキラキラと輝いていて、僕は誰かに導かれるように走り寄って行った。
そうして僕は見つけた、木の下に佇む一人の少女を…
『ア?アーヤ?なの?』
そう問いかけると、微笑みながら頷く彼女から目が離せなかった。
『はい…これ…』
そう言って差し出された紙飛行機
『あっ あの時の』と言うと
『ふふっ やっと渡す事ができる』
『ずっと ずっと瞬くんに会いたかった…』
かすかに潤んだ瞳が僕の心を揺らす。
『ボクも…ずっと君のこと待っていたんだ』
そう小声で呟いた。
それから僕達は、隔てていた時間を埋めるようにお互いの話しをした。
アーヤは、ポプラの木の妖精見習いで人間じゃないこと…
真の妖精になる最終試験のために、しばらく人間界で暮らしながら勉強をする事…
そして、初めて会ったあの日からお互いに忘れられなかった事…
沢山の想いを伝え合った。
幼い二人が出会ったあの日に飛ばした紙飛行機は、長い長いらせんを描きながら ようやく二人の元に舞い降りた。
人間と妖精…
住む世界が違う瞬とアーヤの小さな恋の物語
そして二人を待ち受ける運命とは?
幸せを運ぶ紙飛行機が今 …
新たなるステージへテイクオフ!
なろうラジオ大賞6に初チャレンジしました。
ほぼ初心者のため、設定・構成など拙い部分があると思いますが、読んでいただければ幸いです。