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百鬼の主  作者: 咲夜
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学校の怪談①

深夜1時…

しっかり施錠された校門の前に俺達は集まっていた。

周囲は闇に包まれており如何にもと言った雰囲気がある。

手元の懐中電灯と淡い満月の光が無ければ何も見えないだろう。

正直こう言う事は信じていないが、それでも腹の底から身震いする様な雰囲気は感じ取れる。


それよりも……


「予定通り深夜に集まったは良いが……

何で四季さんまで連れてきたんだよ……」


俺の前には優花莉の背に隠れてこちらを覗き見る転校生の姿があった。


「す、すみません…!

え、えと邪魔でしたら帰りますので……」


そう言う彼女の声は少し震えている。

元々控えめそうな子だ、どう考えてもホラーとは相容れないタイプだ。


「あぁごめん、そういう訳じゃなくて……」


「も〜!

何実麗ちゃんを怖がせてんのよ明理!

それとも何?私と2人っきりの方が良かった?」


楽しそうな声音と共に彼女のニヤニヤ顔が懐中電灯に照らし出される。


「ごめん……

ってそうじゃなくてだなぁ……

何でこんな大人しそうな子を連れてきたんだよ…」


「仕方ないじゃない?

今日実麗さんと話してたら来たいって言われたん

だから!」


「え、えと私が頼みましたですはい……」


思わず固まってしまう。

え?

こんな華奢で大人しそうな子が?

まじ?


「おーい明理〜?

戻ってこーい」


気が付けばヒラヒラと空を舞う掌が視界に入る。


「あ、あぁ大丈夫だ…」

「いや、無理矢理連れて来られた訳じゃないなら

それでいい……」


そう考えつつ俺は思わず懐中電灯の光を四季さんに向ける。


「わ、あっぷ……」


急な光に当てられてあたふたする彼女。

映し出されたその姿は中学生くらいに見える。

ファッションに関しても独特で白いワンピースの様な物で身を包んでいる。

幼いような…それでいて初めての物を目にしたような印象を受ける。


何と言うかイメージと見た目が一致しない


「も〜…明理〜?

実麗ちゃんに興味あるのはわかるけど

お手柔らかにね?」


茶化す様な声に思考から引き戻される。


「すまん……」


「ごめんね〜

こいつ何か気になる事合ったら

すーぐ自分の世界に行っちゃうのよ」


「い、いえ大丈夫です。

この時期の転校生何て物珍しいですし……」


少し恥ずかしそうに四季さんが答える。


「まぁ……そんな事は置いといて……

とりあえず今回の肝試しの確認でもしようか!」


「そうだな…解説頼んだ!」


そう返事すると優花莉は俺とコクコクと可愛らしく頷く四季さんに視線を飛ばす。


「んじゃ説明するね〜」

「今回は学校の怪談……

ズバリ『学校の六不思議』の探索です!」

「知っての通り……」


学校の怪談……?

記憶違いじゃなければあるは確か六不思議では無く七不思議だったはずだ。

言い間違いか?


いやそうに違いない。

俺よりもホラーオタクな優花莉がこんな勘違いするなんて事はありえない。


そんな事を考えていると優花莉が訝しげにこちらを見つめていた。


「明理ー?

大丈夫?今日ちょっとおかしいよ?」


「悪い……続けてくれ」


確かに少しいつもよりぼーっとする事が多い気がする……

だが、それだけで体調が悪い訳でもない。


「そう?もし気分が悪いなら早く言いなよ?」


「そ、そうですよ!

あんまり無理しないでください……」


「その時は直ぐに言う。

大丈夫だ続けてくれ。」


「ふーん

まぁいいや。」

「まず学校の『六不思議』は

歩く二宮金次郎像

ひとりでに鳴る楽器

音楽室のベートーヴェン

動く人体模型

一段多い階段

トイレの花子さん

モナリザと目が合う

だね!」

「今回はこれら全部を回ります!

そこで、ルートなんだけど……

四季さんは今日学校の案内したばっかりだから

詳しく説明すると……」


四季さんが首をブンブンとふって答える。


「お願いします…!

えっと確か南校舎と北校舎で生徒用の教室と

移動科目の教室で別れてるんですよね?」


この学校は、北から南に細長く校舎が伸びている。

正門から見て右が南校舎、左側が北校舎、南校舎側に校庭が広がり、北校舎側の裏に体育館が建設されている。


そして建物は3階建てで、1階は3年生と職員室、2階は2年生、3階は1年生という風になっている。


南校舎側の

1階は、理科室と薬品倉庫。

2階は美術室とその備品倉庫。

3階は音楽室と楽器置き場。

となっている。


階段は校舎の真ん中に位置していて、トイレは階段の横にある。


「だからルートとしては、

最初に職員室に行って鍵の入手

その後に理科室の人体模型

次に1階トイレ

続いてモナリザの絵

トイレの順に上がって行くわよ。」


「ふむ、それで屋上の13階段を確認して今度は俺たちの教室を確認する……だったか?」


「そうそう!

いいねぇLI〇Eの内容読んでくれたんだ!」


実は放課後の……それもしばらくした後に、懐中電灯等の必要な物と回るルートがスマホに送られていた。

正直その時に四季さんが来ることは言って欲しかったが……


「つ、つまり上がりは南……下がりは北校舎って言う感じですね?!」


四季さんは興味津々で答える。


「そういう事!

いいねぇ〜四季隊員は!

そう言うの大好きだよ。」

「あぁ、あと言い忘れてたんだけど校庭と体育館は最後に回るからそのつもりでね!」


「りょーかい」


「わ、わかった……!」


「んじゃ早速行ってみようか!」


俺はそこまで聞いてひとつの疑問が浮かぶ。


「なぁ……どうやって入るつもりだ?」

「確か警備会社と契約してて鍵無しで開けると警報ならないか……?」


「あぁその事ね……

実は…じゃじゃーん!

ここに鍵は用意してます…!」


そう言う彼女の手にはカードキーが握られていた。


「ゆ、優花莉さん…?!

まさか盗んできたんですか……?」


四季さんが驚いたように声を上げる。


「お前……

それはやり過ぎだろ……」


「な?!

ひ、人聞きの悪い!

借りただけだし!」


それに呼応して、優花莉もいつもの完璧美少女とは思えない焦った声を上げる。


「うん……盗んだんだな…」


「盗んだんですね……」


「うぅ…こ、今回だけだし……」

「そ、そんな事より早速出発するわよ!」


彼女はぷいっと顔を背けると校門の方に見を翻し玄関口に向かうのだった。


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