第28話 おにぎりごはん
こちらはカクヨムに掲載された修正版です。
原文ともによろしくおねがいします(*^^*)
アルテマの呼びかけで。ぞろぞろと校庭に集まる集落のメンバー。
飲兵衛に節子も加わり全員が揃う。
ちょうどお昼時と言うことで、節子が気を利かせて皆におにぎりを配っている。
ぬか娘も新作の漬物『きゅうりのニンニクごま油漬け』なるものを配り、皆に味の感想を聞いていた。
「うん……これは美味いな。さっぱりとしながらもニンニクの風味とごま油のコクが満足感を与えてくれる……。鷹の爪のピリッと感も良いポリポリ……」
「でしょでしょ!! 六段さんからもらったきゅうりで漬けたんだよ」
モジョが高評価を付けると得意げになってぬか娘は笑う。
「こっちのおにぎりも美味いですよ。海苔の代わりに塩漬けにした高菜を巻いた、いわゆる『めはりずし』ってやつですね。いやぁ~~最高だなぁ」
「ほほほ、ほんとなんだな。ししし、しかもこれは自家消費用に作っている無農薬米なんだな。かかか、香りが強くてとても美味しいんだな。ぐふぐふぐふ」
ヨウツベとアニオタも節子のおにぎりを頬張りながら絶賛する。
「しかしそうなると汁物も欲しくなってくるのぅ? ワシの家に昨日作ったすまし汁があるから、それを皆で飲もうではないか」
「ワシは日本酒があるからかまへんで、ヒック」
立ち上がる六段に、漬物を肴に出来上がりつつある飲兵衛。
「て、ちが~~~~~~~~~~~~~~~~うっ!!!!」
そこにアルテマの絶叫が響き渡った。
目を点にして、頭に?を浮かべて黙り込む一同。
「私は今から究極魔法を披露すると言っているんだ!! それなのに何を呑気に昼飯など……ピクニックをするつもりは無いぞっ!!」
「……て、両手におにぎり装備で言われてもなぁ……」
すかさず突っ込むモジョ。
「あ~~ほらほらアルテマちゃん。ほっぺにご飯粒がついてる」
むにゅっとアルテマの柔らかいほっぺからそれを取ってやるぬか娘。
笑顔で食べてやる様は、まるで妹に溺愛した姉のようである。
「ししし、仕方ないだろう……節子の作ったにぎり飯は美味すぎる。体が勝手に動いてしまうんだよ」
真っ赤になりながら首を短くするアルテマ。
そんな彼女を見て節子は心底嬉しそうに微笑んだ。
「うん、まあほんで、そのデマンドホームって言うのは何なんや? ……ヒック」
「節電対策のお家でも出すんですか?」
「ホームではないっ!! 開門揖盗!! でもんざほ~る!!」
本気かボケかわからない飲兵衛と、それに乗っかるヨウツベ。
アルテマはそんな二人の顔にご飯粒を飛ばしながら訂正させる。
「開門揖盗とは、離れた者同士がお互いの意思を交換することが出来る秘術だ!! これを使えば戦場での情報伝達、作戦の立案実践のレスポンスが格段に早くなり、その効果は戦争の勝敗をも左右するほどの絶大さを誇るものだ!!」
一気にまくし立てるアルテマに、
「つ、つ、つ、つまり無線や携帯電話みたいなものなんだな?」
アニオタが身も蓋もない解釈を返す。
「そぉれぇをぃわれるぅとぉなぁぁぁぁぁ~~~~……」
すでにタブレットでこの世界の科学力を知っていたアルテマは、やっぱり言われたかと惨めな顔で四つん這いに突っ伏した。
「しかし、通信手段が有るのと無いのとでは確かに大違いですからね。そう言った道具が無い世界では究極魔法と言うのもうなずけますよ」
慰め口調でヨウツベがフォローしてくれるが、
「ええい、上から目線の同情はやめろっ!! それにこの魔法の真価はそこではない、もう一つとびきりの作用があるのだ!!」
ヨウツベの手を払い除けながら涙を散らすアルテマ。
「もう一つの作用? 聞かせてくれんかの?」
占いさんが興味深げに尋ねてくる。
アルテマは気を取り直し、皆に説明を始めた。
「……こほん。え~~~~この魔法はだな。初期のうちは互いの思念だけしか転送できないが、レベルが上がるにつれ、声、景色、そして物へとその種類が増えていくのだ!! ただし、この魔法自体、秘術に値する高レベル魔法なので、たとえ初期レベルであったとしても使えるものは数えるほどしかいない。しかも通信出来るのはお互いが同じ開門揖盗を唱える必要があり。双方のレベルの合計で通信距離と種類が決まる!!」
「も、ももも、物が転送できるのかな!?」
説明を聞いたアニオタが目を剥いて驚く。
その反応に気を良くしてアルテマはエッヘンと胸を反らして大きくうなずく。
「その通りだ。調べたが、さすがのこの世界にも物質転送の科学とやらは無いみたいだが、どうだ?」
「ええ、ええ、そりゃ無いですよそんなモノ!! ほ、本当にそんな事が出来るんですか!??」
それは信じられないと言った顔で興奮するヨウツベ。
「もちろんだ!! ……ただし、そこまでの高レベル転送となると更に使えるものが限定される。我が帝国でそこまでの術を唱えられるのは、皇帝陛下と暗黒神官長……そして私の三人だけだ」
それを聞いて皆が目を丸くし、唖然とアルテマを見つめた。
「さ、三人だけって……アルテマさん。それってかなり凄いのでは……?」
帝国がどれほどの規模の国かはわからないが、その響きから小さい国では無いだろう。その中においてトップ3に入る魔法の使い手とは……さすがに驚きを隠しきれない。
「……意外そうな顔をするな!! だから最初から何度も言っているだろう、私は強いんだと!!」
「いや、その……見た目と喋りと行動が、とてもそうには感じられなかったもので……」
「仕方ないだろう!! 私だって好きでこんなちんちくりんになっているワケじゃない!! この姿のせいで全ての調子が狂っているんだっ!!」
ダンダンダン。と、地団駄を踏んで怒るアルテマ。
その姿はどこからどう見ても子供そのものだった。
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