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着てきたよ!

東京駅とかマジダンジョンだから!!!

 私が何に見えるのか、向こうからぶつかりに来るし、乗る電車分かんなくなるし、もうやべぇ!!

 しかも、スパンコールでビッチリと覆われたネズミの耳を頭につけたおかしい人まで居合わせた。どうなっとるんじゃ。ここは外国か?

 くーん。人混みは苦手である。動物病院につれてかれる犬みたいな顔をして電車に乗っていった。

 皆尊敬するよ。毎日これに乗ってる人もいるんだろ?皆が休みの日に出社する人もいるんだろ?スゲーよ。私できないかも。

 でも今日は鎧がある。美しい貴婦人のような鎧が。


 もうめちゃくちゃ楽しいのね!

 鎧を着るときは下から着ていくのだけれど、足袋履いて、ビチッと脛当つけて、草摺つけて、胴つけて。ここまで来ると更衣室の他のコスプレイヤーさんが見てくる。鎧着る人はいるが、本物の鎧を着る人は少ないのだった。晴れ晴れとした気分である。


 今日は晴れて良かった。

 暑い太陽の下で並ぶのは嫌だったので少し時間を遅らせての入場にした。受付の係の人が怯えているんですね。はい。怖いですね。ダイジョブですよ~何て言いながらの入場だった。


 ゲートをくぐってから目的地までぐるりと歩くのだが、ここで問題が起きた。


 視線を感じてそこをみると、なんと、現金輸送のお兄さんが、重そうな黒い袋を台車にのせてこちらをみていた。

 私の進行する列は、彼らの方に向かっていたのだった。


 現金輸送のお兄ちゃんの汗の臭いを感じた。

 彼の顎先から雫が落ちる。それがやけにゆっくりとみてとることができた。


 現金輸送って二人一組で動くんですね。すぐに相棒が助けにきた。ちなみに私は沖縄にて現金輸送の人に警棒を抜かれたことがあるほどの図体の人間であるので、できる限り刺激しないように隣を通り抜けた。


 さらに面白いことには、建物内の暗がりには警察官がいて(結構な重装備である、婦警をともなっていらっしゃった)私を見て、見なかったことにしたらしかった。

 凄かったよ笑。目があった瞬間に首を降って見なかったことにした。

 命が惜しいなぁ!死ぬのは怖いだろぉ!?

 これは人の根元的恐怖なのだ。


 歩くだけでジャンジャンガシャガシャというので良く目を引いた。


 やっぱりというか、大人の人ね、それもヤンキーみたいな、喫煙所にたむろしていたお兄さんが、「カッケェ!!!」と一言。気持ちえ~!!!

 兜の顎ひもを締め上げるときなんてジットリとした目線を投げてきた。鎧が好きなんだね。鎧良いよね。私も大好きだよ。


 目的の自衛隊ブースにつく頃にはしっかり、鎧を自分の物にして私は立ったのだった。


 自衛官さん棒立ち。目真ん丸。目の穴から落ちんばかりにしていた。鎧は来ないと思ったに違いない。今日は子供向けイベントだったので、ステッカーだけ貰って帰ってきた。最新装備の展示はなく、vr等を用いた体験の展示だった。ちょっと残念だけど、一瞬ヒヤリとした雰囲気になったのでよしとしよう。よしってなんだ。


 今回一番楽しかったのは、盆踊りだった。会場に盆踊りの特設ステージがあって(信じられないだろう?そこに十人ぐらい並べるスペースまであった)赤提灯、ビカビカ光るサーチライト、ミラーボールとdjブースまであった。


 楽しかったねぇ。私は鎧姿なのだが、踊り子さんに合わせて手を右に左にやって、鎧の今回のモチーフが骨だっただけに、余計に化物らしくて良かった。


 盆踊りっていうのは、亡くなったご先祖様が帰ってきて、一緒に踊るものというし(私の地方ではそうなのだ)もうぴったりね。


 頭の上にトリケラトプスをのせた甲冑武者というのは目立つわけさ。やぐらの上の人たちとも頻繁に目が合うし、なんなら有名らしいアーティストさんとも目があったね。サチコさんいたのよ。ビックリだね。


 ウーハーが、でっかいスピーカーが良かったのよ。もう息できないって。そういうビリビリ感。鎧が共鳴して着ているこっちの奥歯が痒くなるくらい揺れるのだ。

 音が弾丸みたいに飛んできて甲冑に当たって中まで入ってくる感じ。臓物に直接杭を打たれる感じ。


 こういうのを楽しいっていうんだ!!!


 音が、色をついて床の上を跳ねているみたいだった。

 その雫が、あんまり沢山だから足の踏み場もないくらいだった。何百人と言うような人の波が、ミチミチになってやぐらの回りを回るその一体感。おお!!人間が好きなのが詰まっている感じ!!!


 ご先祖様ビックリしたと思うね。だって叫び回っているんだもの。音が、違う。なんだろう、ヘッドホンほどの音質はないのだけれど、地面を揺らすあの感覚はもう、言い表せないって!!盆踊であんなに人がいたの初めて!!!見てるだけじゃもったいない!何度他人の手をとって引き込もうと思ったことか!それくらい楽しかった。


 しかも、手を上げたらガジャガジガシャって!!音がするんだわなぁこれ。カッコいいのよこれ。皆見てくるから。しかも、私の回りだけ随分音が良いようだった。ごめんやで、1人で音吸収しちゃってごめんやで。


 吐きそうなほど飛んだり跳ねたりしたね!!矢でも槍でも飛ばしてこいよって感じだった!!戦場(いくさば)に行くときの太鼓ってこんな感じだったのだろうか!!俺を!俺を見てくれ!天照皇大神様よ!


 そして脱いだ時に気がついた。

 肩の装甲板がお釈迦になった!!!!!

 たぶん人に当たったのではなくて、自分の筋力で剥がしとってしまったのだった。

 冗談だろ? スポット溶接だよ?

 金属が溶けてるんだからそれがとれるってどんな力が加わったらそうなる?むしろ、溶接不良を疑う場面であるが、私はこういうメッセージとして受け取った。『次の鎧を用意せよ。レベルアップの時だ』


 分かったよ。ありがとう。今日は頑張ってくれた鎧に酒をかけて飲ませてやることとする。


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