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バールのようなもの

 六角形の分厚く重たい鉄棒が我が手にあった。

 その重さ3.5キロ、長さ1メートル20センチ。

 新しい道具なのだった。

 切っ先はギラリと青白く輝いている。

 腕先40センチの位置からボコボコと波打つのは、私の大好きな鍛造によって作られているからだ。人が叩いて形を作っているからだ。今時信じられるか?人が手で打ってるなんて。人件費だけで足が出ちゃうって。

 鍛造は素晴らしい。鍛造すると、鉄の中から不純物が出てきて、どんどん良くなる。

 まるでそう、兵隊と畳は叩いた方が良くなるっていうでしょう?まさにあれですなぁ。

 しかもこれは、バールを鍛造して作られた槍なのです。これは大変なことで、刃先から持ち手まで全部金属という、特別仕様なのだった。勿論、法適合済み。


 普通の人ならば重いと音を上げる。でもそんなこと、私にはどうでも良いのです。最後の瞬間まで私に寄り添ってくれる道具であることが大事だった。こいつは折れない。砕けない。


 付喪神と言うのを知っているだろうか。長く大切に使った道具には魂が宿るという。なんかもう、涙出ちゃう。それにしたいのだ。


 突いたらスッと入るし。鍛造すると加治屋さんの魂が入るという。良いものは高いというけれど、随分安い買い物だったと思う。


 本当に欲しい人は他にもいたと思うが、もう、うちの子だ。ニヤリ。


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