トリケラトプス
この新しい鎧の話をするためにはまず、xで見かけた素敵なイラストの話をしなければならない。
そのイラストは、ある鎧を着た武士の姿であった。
その身を包むのは、孔雀の羽の陣羽織、熊の毛を植えた草づりに、なんといっても、冑に乗ったトリケラトプスの頭蓋骨だった。
トリケラトプスというのは、恐竜の名前で、それはもう、恐竜好き男子に言わせたらこれが載っていない図鑑なんて恐竜図鑑じゃない!!と言うくらいの人気者。
角が三つもあって、首を隠すように骨でできた分厚い襟巻きがくっついている。さながらその姿は生きた戦車である。この角で突撃してくるのだ。本当にヤバイ。心臓を貫通して反対側に抜けていくスケールなのだ。しかも本物はもっとでかい。
それがいい具合に冑飾りとなってそこにはあった。
今までこんなデザインを考えた人がいただろうか。いや、いない。
私はすぐにリプライを送って頼んだ。『これ作ってもいいですか?』
そして作者さんはいい人だった「個人で楽しむ分には可です」
こう言うわけで新しい鎧を作ることになったのだった。
一番の顔となるトリケラトプスの骨を調べて驚いた。贋作、つまりは偽物で20万円もするではないか!!これはとてもできない。全身なんて買おうとしてないぞ!と思ったが、頭だけでその値段なのである。おかしい。ぼったくりだ。マニアと博物館しか買わないと思ってぼったくっている。
私は思った。せっかく許可が出たのに着れないのか……と。
だが私には、教科書があった。
それも、あの巨神兵を作った人の書いた指南書だった。これは大変なことだった。その人が、何十年も失敗を積み重ね、やっと導き出した答えを僅か数千円の本で知れてしまうのだから、なんと幸運なことであろうか。
ステイロフォームを真材としたパテによる造形は、軽く、強度があり、頭を振っても落ちず、まったく日本の鎧向けだった。
もし、この偶然が重ならなければ、私の元にこの鎧が来ることも無かっただろう。
今日、それを着てきたのだからもう言うことはなかった。
指がしびれるほどやすりをかけ、つぎはぎだらけの表面をパテで埋めただけの恐竜は、しかし、形にはなったのである。
男の子達が憧れ、必ずといっていいほどお土産コーナーでねだるそれは、ついに私の元にやって来たのだった。
その実物を見た子供たちは熱狂した。そしてかつて子供たちだった大人たちも魅了して、カメラを向けられ、ポーズをとったコスプレイヤーですらカメラをではなくこっちを見たのだから、その見た目と言うのは素晴らしかったのだ。
そうそう、これを書かなくてはならない。
今回、千葉県にて実戦となったのだが、更衣室を出て道まで来たら警察官が4人も立っていた。
ばったりである。
しかも私を見て全員が身構えたのである。
一瞬の緊張。私も戦闘民族であり、毎日鍛練を欠かさない肉体で肩の筋肉が鎧に入らなくなりそうになっている始末。つい、ファイティングポーズをとった。
今日の警官は優秀だった。
今まで各地の県警の前に鎧姿で現れた私であったが、彼らは逃げていった。だが今日の千葉県警だけは向かってきたのである!!!!!
これは凄いことだった。彼らは自分の命を危険にさらしたとしても、町の平和を守るつもりだ!!住むならこういうところがいい。えーー。警官はもっと腐っていると思っていた。いるところにはいるのだ。こういう人間が。
本当に良い警官さんたちは、私が笑って手を振って日本刀を持っていないことを示すと快く通してくれた。
「刀持ってたら職務質問ですよ~」なんて警官は笑顔で言う。が、目が笑っていない。
このひと、本気で投げるつもりで距離を詰めてきた。
それが分かった私は、ほんと、日本刀を持ってこなくて良かったなーと思った。あぶねーー。千葉県だけでは絶対に悪いことしない。
話のわかる人間はここ最近ずっと減っていて、あの、60は越えていそうな警官が今後も活躍することを願ったくらいだった。
みんなトリケラトプス見るのな。やっぱり男の子よ。
というか、ステイロフォームがあれば、映画に出てきたアイテムもゲームに出てきたアイテムも、漫画に出てきたあれもアニメに出ていたあれも何でも比較的簡単に作れるんですけど!?これ、すごい力なんじゃないの!?




