歩く戦車
今日はコミケで新型を投入した。なぜこんなにも急いで作っているかというと、ウクライナ、ロシア戦争で、最新戦車レオパルド2が投入され、現地で破壊されたからだった。
今の時代、兵士もスマホを持っていて、平気で破壊した戦車の写真をネットにあげる。そこにはドイツの技術屋と軍隊が威信にかけて守り通してきた防弾技術が詰まっているのだった。箱入り娘の姿がネットにさらされている。
私が手に入れた写真では異なる装甲坂を三段重ねにして、空間装甲を採用した物だった。いろいろ我が国の技術者達が予測していたそれはとはちょっと違うような印象だったので驚いた。薄いのだ。非常に。スカスカだった。というか、そういうのをポンポンネットにあげるのはどうなんだ、と思うのだが、それが今の常識なのだから仕方がない。
私は設計しているので、見ればある程度構造が分かっちゃうんです。例えば、その装甲板が特殊で、溶接技術が進んだ現代でリベット、あるいはボルト留めしないといけないほど電気を通さない物質出てきていて、(おそらく粉末を焼結したセラミックスなのだ。温度的にも溶接で溶けない)もちろんその防御隔壁は破損せず、車体は破損しても殻だけは残ったこととか、何発もミサイルが同じところに当たると破損するだろうとか、全部手に取るように分かるのだった。科学は魔法ではない。その力には必ず裏付けられた理由と構造が伴う。美しかった。まじで美しかった。
それを分かりやすく例えると、クラスの風紀委員長めっちゃ美人だけどスカート長すぎてくるぶしも見えやしないのに、いきなり悪漢にスカートたくしあげられちゃった感じ。委員長、顔を赤らめてこっちに助けを求めているが、思っていたより美しい陶磁器みたいに美しいおみ足に見とれてしまうって感じなのだった。「……さいってい」何て言われちゃって。ごめん。でもそのくらいの重大事件だった。だってレオパルドを採用、あるいは欲している国が何ヵ国あるか貴方はご存じかな? それが国防の中枢に位置することと合わせてどんなに重要な情報だったか。
もちろん全部情報をもらった。ハハハ!良いもの見たなぁ!という感じでエンジンかかってしまって、鼻息荒く作りまくっているのだ。しかもできたものが重さ40キロを越えている。
計算上、RPG7(ロケットランチャー)をぶちこまれてもこの鎧は壊れない。あーテストしたい。できたのはレオポンの劣化コピーだったが、これは人が着る代物だ。海外持っていったら捕まるかな? グアム辺りならなんとかならんかな。
嬉しかった。これでますます箔が付くぞと喜ぶ一方でふと思った。
これ、盗まれて悪用されて、刃物持った犯人が暴れたらどうだろうなと。犯人を射殺しようとしても死ななくて猟友会が出動して、ライフル使ったけど、それでも死ななくて最終的に自衛隊出動になるやつなんじゃねーの。って思ったけど、いいや。そもそもこんな重いの持てる人間は限られるって! へへへ。良いもの作っちゃったな~っ!てな感じでコミケに本日投入した。
以外にも着ちゃうと軽く感じる。なぜかって言われると分からないが、多分、エンドルフェンだか、アドレナリンだとかが出っぱなしになってしまってそもそも痛みを感じなくなるタイプなので、疲れもない。
ただ、物凄く喉が乾いた。だって35度もあるんだもん。死んじゃうって。今回試験的に導入した脇に取り付けた保冷剤も一瞬で溶けたし、人が多すぎて一歩踏み出すのに非常に緊張した。
戦車が街路樹や民家に当たるとどうなるか。対象は傷つき粉々になる。それは重いものが動いているからだ。作用反作用の法則で戦車にも同じだけの衝撃が帰ってくるがそもそも重いので動じない。
皆ぎょっとして見てくる。だって鎧が歩いてるんだもん、こわい。
カメラマンに囲まれたバニー服のおねーちゃんもぎょっとしてこっち見ちゃう。
怖い。本能的にそう感じたはずだ。
私が歩くと道ができた。コミケっていうのは人がぎちぎちになってる山手線車内みたいなものだ。通勤快速の月曜朝である。
その中で道ができるのだ。主に外国人が逃げる。そりゃ、怖いよね。ちなみに、武器は持たずにこの状況である。
そしたら、他にも日本鎧を着こんだ猛者がおりまして、こっち歩いてくるんですわ。
彼が着ていたのは(もしかしたら彼女かも?)多分本物の日本鎧で、錆びまみれで漆が剥げていた。あーーー直してあげたい。鎧が泣いとるじゃないかと思ったが、その持ち主は私を足の先端から頭のてっぺんまでみて、肩を叩いてぎょっとしていた。
まさか本物の鋼鉄で出来ているとは思わなかったのだろう。
楽しいねぇ!!!これだからやめられない。
とりあえず、近所で暴動やらなんやらが起きて買い物にいくときに着る鎧はこいつで決定だ。
出会い頭にショットガンぶちこまれても死なないもん。冗談みたいだろう? でも本当なのだ。




