その美しいこと
私は他にも小説を書いていて、そこに『設計者がハードを作れるわけない(要約)』という感想が届いたことがある。
みんなやったことがないからできないと思うのだろうな。
ハードとかソフトとか言う人は多分、プログラムの設計者なんじゃないかな……。
我々設計者は、カッコよく言うと創造主になる。しかも私はロボットを主に手掛ける設計者なのでバチくそにカッコよく言えば、彼らの神と言うわけだ。
よっぽど自分よりも優れた機械を作っているので、彼らに心があったら幻滅されるだろうな。
勿論おごり高ぶりはしない。クズが神になろうとするから失敗するのだ。
でもそんな設計者も、ほとんどが図面を書くだけで、物を作ることはない。
言わば、魂の創造を行うが、体を作るのはまた別の人、と言うわけだ。
私の場合、鎧においては魂と肉体どっちも作っているので、かなり異質と思われたのだろう。
鉄板を切るとき、刃と鉄の間から綺麗な花火が上がって、一瞬で燃え尽きる。
これがものすごく綺麗なのだけれど、文章で表現するにはあまりにも難しい。
一瞬のうちに空へと消えるその輝きは、ちょうど田舎の夏の夜、草原をわき行った先で見た蛍のような美しさなのだった。
あるいは、一瞬で過ぎ去った青春の日々、夏休みの部活終わりのガリガリ君をかじりながら見た夕焼け空か。
見とれていたら左目に破片が入ってゴロゴロとしている。
涙まで出てきた。
ずいぶんとじゃじゃ馬なのだなぁ、と笑ってしまう。
今半分切れた。あと半分残っていて、どうして自分がこの分厚く重い鉄板を形通りに切るのとができたのか今もってなぞである。
こんなに硬いのは初めてだった。数千円する刃が一時間ちょっとで溶ける、そういう鉄板だった。
切削油が煙をたてて煮えるような熱さだった。
彼女が夢に出てくる夜が楽しみである。本当の意味で材料から組み上げる鎧は、彼女が初めてだ。




