ワルイ鎧ジャナイヨ
腹もすいたことだし、飯にしようということになった。
町にはバーガーを出すチェーン店があり、その建物の二階に向かうこととなった。この、ばーがーというのは、パンで肉や野菜を挟んだ南蛮の食い物だ。
その店のある二階に向かうのには、一人乗るのがやっとと言うような小型のエレベーターに乗る他なかった。階段もあったが、子供が大勢いて泣かれるかもしれない。
私は、そのこじんまりとしたエレベーターの姿を見て、とあるゲームのステージを思った。
こういう場合、大抵、呼び出した昇降機には、先客があり、扉が開いた瞬間に切りつけられるなどするのだった。
まあ、それもないかなと思って待っていると、薄暗い廊下に到着を知らせる乾いた電子音が響いた。
もっさりと扉が開く。
その中には、やけに驚いた男の姿があった。
目が合う。
流れたのは沈黙の時間。
しばらくして「ひっ」と男は短く悲鳴をあげた。
腰を抜かし、エレベーターの床にドサリ、と座り込んでいた。その二つの目は皿のように真ん丸だった。
しまった。私は鎧姿だった。
エレベーターの扉が開いて、ゲームのボスみたいなやつが目の前に立っていたらそりゃ怖い。
悪いことをしたな、と思って手を差し出したのだが、相手は壁に体を擦り付けて、ガタガタと震えるばかりである。まるで壁に擬態すれば命が助かると思っているみたいだった。
魂でも取られると思ったに違いない。
仕方がないので階段をあがると、遅れてエレベーターから男が飛び出すのが見えた。
事の結末を見ていた子供達には「ええええぇぇぇ……!!」と言われた。




