表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/93

行って来たぞー!

 私が今回着た天照大神をデザイン元とした鎧は、実に美しいものだった。自分で言うのもなんであるが、近年のトレーニングとあいまってもうたまらない姿である。


 全身黒漆塗り、兜には鏡をいただいたデザインで、顔と腕には亡者の印として骨の意匠をあしらった。


 黒い全体は、まだ光のなかった世界に、太陽の神が降臨される時をイメージした。


 兜の鏡は、勿論、太陽の神のご神体であり、その鏡には邪悪なものが姿を変えて近づいてきても、たちどころに本来の姿に戻してしまうというご加護つき。


 地獄の亡者を思わせる骨の意匠は、天照大神様がお生まれになった理由、父親が黄泉の国に向かった際、体を清めることで誕生したことに準えている。


 分厚く、鍛練に鍛練を重ねた鉄板は、美しい曲線を描き、見たものに鉄であることを忘れさせる優雅な形をとった。


 裏打ちの皮は専門店にて取り揃えた本革鞣しの日本製。


 もはやこれは、これまで培ったすべての経験を盛り込んだと言っても良いだろう。


 うん、こう言うの好き。だって晴れ着だからね、やっぱりこだわらないと。成人式の晴れ着はどんなに金をかけても美しいものを着たいではないでしょうか。そういうものです。



 鏡、と言うものは凄い力を持っていまして、これは特別なときにしか着ける気はありませんから、最初、着けずに歩いたときには、一人二人しか私を見なかったのもが、御神体を飾り付けた瞬間、もはや、前を歩くものも横を歩くものも皆、こちらを見るのだった。


 今回行った町中は、所謂飲み屋横丁のような場所で、多国籍の料理店が軒を連ねる場所でしたから、その中の中国人経営者の店の前なんか通るときには中国人がガン見する。


 鎧が怖いよね。分かる分かる。


 ここ一ヶ月、私はジムに通っていますので、ちょうど成果が出てくる頃合いなのだった。鎧を着てても内側から盛り上がる筋肉はバカデカイ肩幅に繋がっている。


 肩を覆う鎧はよく晴れた青空を反射してキラキラとひかり、実に良い音を奏でた。


 それが本当に良い音で、かなりの人を魅了してしまった。



 本当に嘘偽りないのだが、鎧を着ていて初めてめちゃくちゃかわいい女の子に声をかけられた。


「甲冑さんいるー!!!甲冑さんだー!!!」


 私、おっさんにキラキラした目を向けられることしか慣れていませんので、全く言葉になりませんでした。


 ごめん。もしかしたら、私の読者さんだったのだろうか?

 心のなかではすごく嬉しかったし、スキップしちゃってたし、本当に反応できなくてごめんだけど、面の下でニヤニヤしてしまったのだった。


 だって初音ミクちゃんその物だったのだもの。レベルたけーって。


私が足湯を見つけて入っていれば、その子が見つけて手を振ってくるし。私、そういうのに弱い。


 そうそう、足湯があったのですよ。凄いですよね。鎧着たまま足湯入れるのですから。戦国武将も傷を癒すときには温泉を利用したと言いますが、これがまたなんとも言えず心地よいものなのです。


 鎧持ってる人は絶対に足湯行った方がいいです。いや、ホントに。結構奥まった位置にあったためか、私は一番乗りで、もう、ふやけるほど堪能してしまったのですが、ちょっと申し訳なかった気もしますね。


 私でかいので。普通に歩いてきても頭一個上に出ますので、警察なんかにも見られます。


 不思議なことに職務質問は一度もうけたことがありません。彼らは皆、口をつぐんで地面を見ます。



 面倒事はごめんなのでしょう。戦国武将に日本刀で切りつけられたら、警察の防刃ベストなど役に立ちませんし、彼らは銃をすぐ使うことができませんから、来ないでくれ……。と願うばかりなのです。



 めちゃくちゃよかったですね。今回。やっぱりこだわって作ったものは人を魅了するということなのでしょう。うん。好き。もっといいもの作りたい。カッコ良く、強く、弱いものに寄り添うような人になりたい。


 今週にはコスプレように作られた金属製の太刀が届く予定なのです。ニヤニヤしてしまいます。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 某動画にて、捕食者の全身身に着けた人が歩いている様は凄かった……。 DARK SOULS初プレイ動画とか見たら、やっぱり死にまくりますね……(苦笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ