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肌を見せてはいけませぬ

 私は頭に神様を乗せて戦うので、その神様は信徒にどんな信仰をされているのか気になって調べた。


 さすが八百万で一番偉い神様というだけあって、捧げものは舞。踊り、演劇。


 しかも面白いことに、その登場人物が神様という面白さである。神様を喜ばせるために他の神様の力を人間が借りるという構図である。どんだけ偉い神様なのだろうか。


 マーこれがホントに良いんです。私の好きな演目は、大蛇退治というもので、ヤマタノオロチ退治の神話が元になっていると思うんですけれど、神様が舞台で日本刀を振り回すんですがね、これがまたすごくて、全然振り回していないのに、大立ち回りをしているように見えるのです。やっぱりプロですからね。受け継いできた技法という物があるのでしょう。


 私も素人なりに盗みますと、神様を演じる人は総じて全く肌を見せないんですね。大蛇に切りかかっても耳1つ出さない。やっぱり、肌が見えちゃいけないということでしょう。とたんに人間だと見破られる。


 人間が神様の皮を被っているだけだぞ!って感じである。だから向こうさんは徹底的にけいこを積む。まーいいんですわこれが。なんというか、足りないところを頭が補うので、実際に見ているものよりもずっと美しく見えるというか。足らないを知るというか、まるで、グラフィックが上がりすぎたゲームからなぜかリアリティが欠損していくような、そんな感覚に陥るのですわ。


 現実が壊れる。


 肌見せちゃいかんですね。肌は。


 鎧には猿面と呼ばれる種類のものがあって、顔を大きな面で覆っている特徴の物なのですが、これがまた恐ろしい。それを神様の形でもって作ったらどうか、と考えております。


 私の解釈だと、太陽の神様って顔があるのだろうか……なんて思ってしまうのですよ。月は見上げればボコボコとしているが、太陽はつるつるしているように見える。実はのっぺらぼうなんじゃないかって。


 私は貪欲な設計者、人間の悪い所が凝縮されたような職種でおまんま食べていますので、作らざるを得ない。


 春日神社の雑面のデザインも実に秀逸である。あれは一度見て欲しいのだが、なんかもう凄い。ああいうデザインよ。ああいいうのをデザインができる人が天才というのだろう。


 問題は、肩から頭にかけてのラインで、ここが曖昧になると人間は人間として認識できなくなるという。ここをぼやけさせるような鎧のデザインにしたい。


 人と同じじゃつまんねーっすよ。人生が退屈で平凡になっちゃうっすよ。


 一目見て、見た人の人生に一本の杭を打ち込む様な姿になれれば最高である。トラウマとかになりたい。一カ月周期で思い出されるような見た目に。きっと数々の鎧もそうして生まれたに違いない。

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