重装甲騎兵前へ
コミケに西洋甲冑で突撃した。
47プラス、メイスと各種装備品の総重量は50キロを越え、この化け物を運ぶのは乾いた笑いを誘うような行為だった。
西洋甲冑は人が着なくても、それは人の形を保っている。だから、スキューバダイビング用の道具入れに入れられた姿は、まるで大人が体操座りをして縛られているような見た目だった。むぎゅーって、出してーって感じ。
私はそれを悪魔の繭と呼んでいる。
袋が黒くて、中身が時おり音をたてて揺れるのが不気味だ。実際には路面の振動を拾って揺れているだけなのだがどうにも。まるで、旧世代の遺物が生き残っていたような感じ。
ひりひりと焼けるような待ち時間を経て、転がり込むように更衣室に入った。
日本人は全く危機感が足りていない。
私が、ガントレットや、チェーンメイルを机に並べて、ジャラジャラと耳障りな金属音を上げているというのに、注意する人はなかった。
今回用に作ったメイスを取り出すと、回りから息を飲む声が聞こえた。わずか数分の内に、死を意識させることに成功する。
それらを身に付けて外に出ようとしたとき、問題発生。
コミケは、国内最大級のイベントなのだ。今回コスプレに参加できたのは抽選に当たった人だけ。しかし、その数は見たところ数百と言う数だった。
その人達の目と言う目がこっちを向いていた。
怖い。なんで見るんだ。怖い怖い怖い。できる限り目を合わせないようにしよう。




