太陽印
以前、天照大神をモチーフにした鎧を作ることに関して書きましたが、私あまり文章が得意でないので、疑問に思う人もいたんじゃないかと思いました。
なんで女の神様を戦で着用する鎧につけるのかと。
それは、天照大神の神話に由来します。
この神様は、別に戦うことを避けていないのです。むしろ自分から立ち向かうタイプの女性である。
あるとき、同じ親を持つ神様である、スサノオが会いに来ると知った天照大神は『野郎!姉に楯突くつもりか!ならば良いだろう、完全武装で迎え撃つ!』(と思ったかは分かりませんが)全身鎧を着て弟を待った。
勿論、弟は戦いに来たわけではなく、話しに来ただけだった。全ては天照大神の勘違いだった。というのだ。この神様は女性で、鎧をお持ちになり、かつ、自分の手で戦おうとしていることがこのエピソードから分かる。
普通、まわりにいるもっと強そうな神様にお願いして戦ってもらうだとか、逃げ出すだとか、そう言う話になるはずではないか。何しろこのときはもう、八百万の神々のトップである。だが、この神様は自分で立ち上がったのだ。私はそれが凄く好きになった。
このような勇ましい一面があるが、しかし、天照大神が血生臭いのが好き、と言うわけではない。弟が悪いことをして咎められた時には、まわりに嘘をついてまでかばってやる優しさもある。ちょっと人間臭い、すごい神様。こんなことを言うと、怒られちゃいそうですが。
天照大神は、太陽の神様である。そのため、光を反射する鏡が御神体なのだが、どうやらそれは、直径10センチほどの鏡ではないか、と言われている。これは当時、現代の姿見のような巨大な鏡を作る技術が存在せず、製作可能だった最も大きな鏡が、この大きさだったからだ。
実はこの10センチ、兜の飾りとしてはかなり良いサイズなのだ。偶然なのか、それとも狙ったのかは分からないが、私はその当時の大きさを再現し、3つ飾りを作りあげた。
御神体を量産していいのか、という突っ込みが来そうだが、天照大神様は非常に愛された神様。日本中に御神体がある上、そもそも、天照大神は自分の姿の写しとして鏡を授けている。それはもう、愛ゆえに多くの御神体がある。遠慮無く沢山用意することにした。
一番良くできたのは戦闘用の鏡で、鉄の鉄板から切り出して作った鏡だ。円形の鏡より、下に向かって銀の雫が降り注ぐデザイン。
これは、太陽の暖かい日が地上に降り注ぐイメージである。勿論これは、どの戦国武将もつけていない。私だけのデザイン。ムフフフ。良い。
さらに好きな点をあげるならば、日本の神様には優しい面と残酷な面が両方あることである。太陽の光は草木を暖かく包み、育む一方で、干ばつで枯らすこともある。
武士は、敵の首を取り手柄とするが、情けをかけ、女子供は殺さない。
そんな武士にぴったりの神様ではないだろうか。




