鎧再び
今日イベント行ってきました!やっぱり鎧ですよ鎧!!!日本人だもの!!スゴかったです!!
どうスゴかったかと言うと、アニメキャラクターのコスプレしている人がいて、その作品を知っている人がキャーギャー言っている状況で、その興奮も熱を帯びた視線も、私がそっくりそのまま奪ってしまうのだった。歩いてガチャガチャしているだけで。
もう、彼らは無言。目をぎょっと剥いて、皆固まってしまう。黒人さんなんて立ち止まって目を擦って、友達を引きずってきた。信じられなかったのだろう。この日本にまだ武士がいることを。
私は背が高く、肩幅が広いので良く目立つのだった。刀を振り上げたポーズなんかすれば、少年は一ころだった。一ころでもう目をギラギラさせて写真をせがんでくるのだった。少年が口をポカンと開けてハアハアと荒い息をし、同じポーズで突っ込んでくる。鎧ってこう言うものだ。なんかもう、言葉も通じない海外のお子さんが駆け寄ってくるのを見るともう、言うことないですよ。
薄っぺらだけど、今日だけはヒーローなのだった。私は、かっこ良くて背の高い影虎となっていた。
どの状態でなるかと言うと、更衣室で足袋を履いたとき息吹を感じる。籠手を嵌めたとき、感情が動く。そして面をつけるときに魂が入る。私は、それらが抜けぬように冑の緒を締めるのだ。
それがどんな姿かは、スタッフさん達の反応でありありと分かる。彼らは息を飲んだ。今日のスタッフさんは本当に良かった。皆子供の頃にこういうのに焦がれた世代だった。誰もが武士の姿でチャンバラ時代を生きた少年たち。私が歩く姿を見て、背中が見えなくなるまでじっと見続けていた。帰るときなんて深く頭を下げて『おつかれさまでした!』ですよ。私、こんなのはじめて。他の人には言ってなかったじゃないですか。
鎧を着て一番反応するのはまったくその世代ばかりだった。間違いなく子供ではない。大人の男たち女達がベロベロにやられてしまう。もう今日なんてテラスに出て巨大な橋を見下ろしていたら後ろから「すみません、すみません」と声がかかったぐらいだ。あまりに声が小さかったので私に言ったのではないだろうと思っていたら、また聞こえる。
振り向くと、目をひんむいたおじさんが写真を撮りたくてウズウズとしていた!彼もまた、少年だった。年を取ることは、体が成長することは、大人になることとはちょっと違うよね。こういう心を持って生きていることが大事なのではないか。私も嬉しかったよ~行って良かった。
ショップの店員さんも良かったねぇ。もう本当に皆これを着たらいいよ。私は毎日これを着たい。




