それは思いヤリだったのです
ちょっと更新お休みして申し訳なかったんですけど、凄くいろんなことがあったんです。
皆さんは、神奈川県秦野市で体重80キロものイノシシに立ち向かった男性がいるのを御存じでしょうか?
80キロのイノシシがどんなものかというと、人を食べることもある化け物です。私の地元ではこどもの頃に友達が1人消えています。なんと恐ろしい事でしょうか。
しかもそのイノシシは大人を後ろから襲っています。これがどんなに危険か分かりますか?原付バイクが走ってきてぶつかるようなものです。怪我をします。最悪体の一部を失います。
しかもそのような惨状が起きたのは、街中でした。猟友会が出動しても猟銃を撃てません。流れ弾が人に当たるかもわかりませんし、何しろ法律で縛られているからです。なんとクソッタレな事でしょうか。例え目の前で化け物に人が食われていようとも、彼らは弾一発撃てないのです。
そんな中、そのヒーローは現れました。
見た目は普通にどこにでもいるような男の人です。屈強なわけでも胸板が厚いわけでもありません。
上は紺の作業服、下は白の作業ズボンに、黒い長靴姿。何も体を守る物がありません。それで槍を持って立ち向かったのです。
信じられますか。これが現代日本で起きたことを。
よくもまあ、逃げなかったなと私は感心させられた。自然界で生き残ることとは危険から逃げることと同義です。全てに生き物は臆病であり、自ら攻撃を望みません。イノシシは人里に下りてきて人間を襲ってくる敵だと考えました。だから自分も攻撃を始めたのです。イノシシは人を殺しに来ているのです。それを鎧も着ずに、なぜ立ち向かえたのか私には全く理解できないのです。
そこが小学校だったというのもあったのでしょう。通学中、子供が襲われればひとたまりもありません。だから槍を手に立ち向かった。それがあなたに出来ますか。という話である。
私は無理である。でもあこがれた。
私は日本刀を設計できる程度には刃物に詳しいので、使われた刃物がフクロナガサという特殊な刃物だと写真で判別できた。
フクロナガサとは、一枚の鉄板から作られた刃物で、持ち手は空洞になっており、そこに棒を刺して槍とすることができる刃物である。しかもこのフクロナガサは商標登録がされており、たった一つの鍛冶屋が作っている。
何と幸いなことに、同じ人によって作られた物を私は持っていた。
ニュースを見て同じく欲しいと思った人が殺到したのだろう、追加注文は一年後と言われたほどの物だった。
槍を手に戦った彼は、テレビのインタビューに対して、眉間を狙って差し込んだが半分刺さって止まってしまい、殺せなかったと答えた。彼が使ったのは刃渡り24センチ、つまり12センチ頭にめり込んでそれでも死ななかったという。どんな化け物だ。
私は、もう、すっかりやられてしまって、ホームセンターで長さ180cmの杉の木を買って来て加工し、自分のフクロナガサも槍に出来るように改造した。
やってみて分かったが、直前に加工して上手くはまる物ではない。少なくとも加工に数時間かかる。つまりあの方は、ずっと前から準備をして、その日に至ったということである。
私は部屋の中で槍を構えながら、彼の見た物を想像することしかできない。
さぞ怖かっただろう。彼は一人だった。倒れれば、殺される危険もあった。
私にそれができるか。私は出来るようになりたい。




