冷たい夜に
夢枕にお姉さんが来ておるんじゃけれど、何が言いたいんじゃろうねぇ……。
なにぶん、夢に出てくるだけですので、私が話そうと思っても口から空気が漏れるばかり。口惜しいことこの上なし。
この寒いのに、ワンピースみたいな服を着ている。暗い部屋で裸足で立っている。その足にさわったら冷たかーと声出してしまったね。あれま、夢でも喋れるね。というか、足あるのね。
「ねえ、お布団はいるー?」
返事はなかった。
昨日は鎧をお風呂に入れてね、綺麗にしたんよ。もしかしたらそれで出たのかもしれんね。私、汗かいて臭くなるのが嫌だから、洗いたかったのだけれど、大きすぎて洗面器に入らないからね、浴槽でごしごし洗って差し上げたのだが、お気に召さなかったかねぇ。
ずいぶん寒い夜で手が悴むから後半はお湯を使ったんだけれどね。
結構、干すところが面白くて、皆見たことないと思うのだけれど、物干し竿に鎧をかけると、なんか人間を干しているみたいになるんだねぇ。胴に肩と草ずりまでくっついていて、胸と背中の形は固定されているから、まるっきり、手足と首のない人間に見えてね……なんかこう、いいなぁと。
ああ、冑飾りも磨いとかなきゃならんねぇ……ずいぶんやることがある。足袋もふっちゃけちゃったので縫わなくちゃならんし。
今胴体が乾燥待ちで手足と冑だけがついているので、随分可愛らしい格好になっておるよ。
物は大事にすれば神様が宿るって言うけれど、なんかもう、ついてらっしゃるので、作った人の想いでも詰まっておるのかね。
何で来てくれたんだろうね。
縁があったと言うことかな。鎧と縁があったとさ。




