あと数日
二回目の着用の日を直前に控え、パソコンの前で私は心を震わせていた。ハロウィンは行動可能範囲が一回目よりも広く、遥かに多い参加人数が期待できたのだった。更衣室は主催者側から混雑の予報が出されているくらいだった。
決戦の日、会場では色々な人が溢れることだろう。会場には特設ステージがもうけられ、そこで自慢の衣装を披露するらしい。私はこれが気になった。つまり、鎧を一段高いところで見せつけられるという意味ではあるまいか。
戦国時代、数々の戦場で武士は大声で叫んだものである。目立たねばならないからだ。良い戦働きをしても、それをお殿様に見初めていただかない限りは、御褒美はない。絢爛豪華、あるいは、地獄のような恐ろしさで目立った武士達は、長く噂されたことだろう。
今、それは残っていない。きっとどこかで忘れられ、武士達は時代の隙間にその名を刻むこともなく消えていったのだ。恐らくそれは記憶媒体の少なさにあったのではないだろうか。当時と現代日本を比べれば、紙は幾分高価であっただろうし、布などはもっと高かったはず。絵を描いて残そうとも、そのあとに起きた震災や戦災で焼かれたものも多くあっただろう。
しかし現代日本では、インターネットの世界で、誰でも情報に触れることができる。そしてそれは長く残るだろうと思われた。ぜひ、そのステージとやらに上がってみたいものではないか。ステージに上がると撮影されるらしい。受付は当日、ステージ横にて行うとのことゆえ、あの場所に行く強者どもは、皆、目立ちたいものも多いと思われる。早くいこうと思っておる。
決戦日、天気予定は晴れ。戦場には多くの武装をもった者達が集まることだろう。 中には名刺交換などをして交流を深めるものもいるとのこと、これは私もやりたいということで、名刺を作るなどする。友がほしいのではない。相対した敵の名を覚えておきたいのだ。鎧武者は自分以外にも出てくるだろうか。今から楽しみでならない。




